
テレサイカイアトリー
9月中旬、ランディ・クレガーさんをアメリカからお呼びして、講演会とワークショップを行いました(当社の本では、クリーガーとなっていますが、会って聞いてみると、クレガーと発音されました)。境界性パーソナリティ障害(BPD)を持つ方のご家族が、沢山ご参加くださいました。みなさん、とても真剣に講演をお聞きになられていました。ワークショップでは、ご家族の方々から、治療施設を探すのに大変なご苦労をされている、ということをお聞きできました。
ご参加されたご家族のほとんどが、カバーに書かれている「はれものにさわるような毎日をすごしている方々へ」という言葉に飛びついた、と話されていました。この本(境界性人格障害)を読んで、本当に救われたと言われていました。それまで、数箇所の病院やクリニックで、治療を断られ、あるいは違う診断で治療を受けていたのだそうです。
ランディ・クレガーさんは、アメリカでBPD-Centralというホーム頁を立ち上げ、またご家族同士がネット上で話し合えるThe Welcome to Ozというサイトを運営されています。 ランディさんの話をお聞きになって、何人かのご家族の方々が、日本でもご家族が話し合えるネット上のコミュニティを立ち上げたい、と言われていました。そのようなネット上のコミュニティが出来れば、ご家族の方々の大きな力になることでしょう。
確かに日本では、境界性パーソナリティ障害の治療を行っている治療機関は、大変少ないと思われます。この診断が出てきたのも比較的新しく、この障害の知識をお持ちでない医師も多いでしょうし、知っていたとしても治療経験がない、あるいは大変なので引き受けたくない、というところも多いと思います。そのため、ご家族の方々は、大変苦労されるわけです。当社から出ているいくつかの本が、大変役に立ったとお聞きし、この出版の重要性を再認識させられました。
BPDの治療をされている先生方の人数が少ないとすると、多くの患者さんが治療を受けたいという場合、どうしたらいいのでしょうか。アメリカでは、テレサイカイアトリーが徐々に行われているようです。APAから出ているPsychiatric Newsの7月4日号にTelepsychiatryについての記事が載っていました。
はたしてネット上での精神科の治療は、効果的なのでしょうか。
若い人たちのほとんどは、小さいときからゲームをしたりして、パソコンに慣れ親しんでいます。パソコンやゲームでは、すべての情報が、視覚と聴覚を通して与えられます。触れたときの感覚や嗅覚は、置いてきぼりです。氷をさわったとき、花の匂いをかいだとき、その感覚が画面からは学ぶことができません。人の顔をたたいたとき、あるいは、たたかれたとき、痛みも感じません。NLP心理療法では、感じていることがどの感覚器官を通ってきたのかを大事にすると聞いています。今まで氷にさわったことのない人が、パソコンの画面で氷を見ても、それが冷たいものだと説明を受けても、氷を実感できないのではないでしょうか。物を見なくても、さわることで物を実感できます。もっと正確に表現すると、たったいま私から視力や聴力が失われたとしても、手を伸ばすと指先でそのものを感じられることができたらそれでいい、そんな感じです。人間の感覚の中でも、触れることって、感覚以上のものがあります。触れてはじめてそのものを知れる感じ。触れるとすべて伝わる感じ。この感じがすごく大事な気がします。
グループで輪になって手をつないで、目を閉じて、じっと座っている。心理療法でときどき行われますが、この感覚が今の時代、忘れられているのではないでしょうか。
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