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星和書店
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弁証法的行動療法(DBT)の上手な使い方

弁証法的行動療法(DBT)の上手な使い方

―状況に合わせた効果的な臨床適用―

編:リンダ・A・ディメフ、ケリー・コーナー
前書き:マーシャ・リネハン
訳:遊佐安一郎

A5判 並製 312頁
ISBN978-4-7911-0881-7〔2014〕
本体価格 3,500 円 + 税

弁証法的行動療法(DBT)は境界性パーソナリティ障害を持つ自殺傾向の高い人々の治療法として開発され、その効果が実証された認知行動療法(CBT)の1つである。本書はCBT・DBTの基礎知識を有する読者を対象とし、様々な治療環境や患者集団においてDBTを実施する方法、原法を最大限に守りながら改変・応用する方法を紹介する。クライエントが「生きる価値のある人生」を構築する援助として、本書のツールや戦略を活用していただきたい。

マンガでわかる アスペルガー症候群&カサンドラ愛情剥奪症候群

マンガでわかる
アスペルガー症候群&
カサンドラ愛情剥奪症候群

西城サラヨ 著

四六判 並製 132頁
ISBN978-4-7911-0882-4〔2014〕
本体価格 1,300 円 + 税

アスペルガー症候群とは? カサンドラ愛情剥奪症候群とは? アスペルガー症候群をもつ人のパートナーは、どんな思いを抱えているのでしょうか?
精神科病棟のナースや保健師として勤務歴のある著者が、夫のもつアスペルガー症候群について、コミュニケーション不全により自分が陥ったカサンドラ愛情剥奪症候群について、マンガと文章で、わかりやすく伝えます。ふんだんに描かれたアスペルガーの夫とその妻のエピソードは圧巻。アスペルガーをもつパートナーとどう接すればいいか、カサンドラに陥らないためにはどうしたらいいか、など役立つ対処法を提言します。

アリピプラゾールを使いこなす

アリピプラゾールを使いこなす

石郷岡 純 編

A5判 並製 172頁
ISBN978-4-7911-0879-4〔2014〕
本体価格 2,800 円 + 税

我が国で最も汎用されている抗精神病薬の上手な使い方。
アリピプラゾール(エビリファイ)は、双極性障害における躁症状の改善、うつ病・うつ状態の効能・効果を追加取得し、世界中で広く用いられている抗精神病薬である。本書は「臨床精神薬理」誌のシリーズ『アリピプラゾールを使いこなす』をもとに構成。臨床現場で活躍している多くの医師の豊富な使用経験から得られた使いこなすコツについて、疾患ごとに紹介する。アリピプラゾールを使いこなす上で重要な情報を収集したマスターブック !

   雑誌の最新号 next
精神科治療学
本体価格  
2,880
円+税
月刊 精神科治療学 第29巻8号

特集:生活をみる認知症診療

認知症の人の活き活き生活。家族も納得の精神科医療のいま!ともすれば薬物療法に偏りがちな認知症診療に欠けているものは、認知症本人の気持ちに寄り添い、残された認知機能を活かして本人に活き活きと生活してもらうという視点である。失われた認知機能の回復に力を注ぐよりも、本人・家族に有意義な生活を送ってもらう方がはるかに重要と思われる。本特集では、認知症の症候学、認知症の説明モデル、介護・生活指導、リハビリテーション、パーソン・センタード・ケア、BPSDの対応、デイサービス、回想法、地域のケアシステム、介護保険などを取り上げた。認知症患者の急増に対応する精神科医療関係者必読の特集。 JANコード:4910156070849

臨床精神薬理
本体価格   
2,900
円+税
月刊 臨床精神薬理 第17巻9号

特集: 成人期ADHDの薬物療法:その課題と展望

注意欠如・多動性障害(ADHD)は、児童期を中心に概念形成されたが、近年成人期においても持続することが認識されている。本特集では、成人期ADHDの存在について展望し、神経生物学的エビデンスの小児期との比較、併存障害のために受診した患者における診断、成人になって初めて診断されたADHDを治療する際の留意点、薬物療法の適応はどこまでか、自閉症スペクトラム障害に併存するADHD症状にいかに対応するか、気分障害を併存する患者への薬物療法、そして依存・乱用問題について取り上げ、成人期ADHDを巡る課題について整理し成人期ADHD治療がいかにあるべきかを明らかにした。
ISBN:978-4-7911-5203-2

精神科臨床サービス
本体価格   
2,200 +税
季刊 精神科臨床サービス 第14巻3号

特集:成人の発達障害を支援する I

今、再び、発達障害について学ぶ。実りある支援をするために。現在、成人の発達障害が疑われるケースが急速に増えてきている。しかし、発達障害の患者を積極的に受け入れる医療機関はまだ少ない。社会の発達障害に対する理解を得る活動とともに、発達障害者の支援ができる専門家を増やしていくことが現実的課題となっている。本特集では、巻頭座談会を皮切りに、2号にわたって、成人の発達障害に対する診断やアセスメントの基本や、脳科学、薬物療法などの最新知見、ケースワーク的支援、デイケアにおけるコミュニケーショントレーニングなどのさまざまな実践的な取り組みを紹介する。
ISBN:978-4-7911-7155-2

今月のコラム
今月のコラム
チャリティーショップと摂食障害

〜イギリスの町の風景〜

白梅学園大学  西園マーハ文

この夏、イギリスに短期滞在しました。イギリスには、「チャリティーショップ」と呼ばれる店舗がたくさんあります。第二次世界大戦中にギリシャの飢餓を救うために設立されたOxfamという団体が嚆矢のようですが、今では、癌研究財団や、子どものホスピス援助のためのHelen & Douglas Houseなどさまざまな組織がショップを持っており、看板を見て医院かと思うと、書籍や衣類のリサイクルショップだったということがよくあります。大学町では、教員や学生がよく出入りするせいか、書籍などは質の良いものが手に入ります。リサイクルと社会貢献とチャリティーの趣旨の啓発が総合的に行われている印象です。今回、ある大学町のOxfamで、摂食障害に関する本を数冊見つけてレジに持って行ったところ、店番の男性が「摂食障害に興味があるんですか?」と声をかけてきました。日本で摂食障害を専門にしている精神科医だと説明すると、自分も精神科医だとおっしゃるので驚きました。聞けば、チャリティーの趣旨に賛同して、時々ボランティアで働いていらっしゃる由。この医師は、「摂食障害の治療は難しい。この町には良い専門ユニットがあるんだけど、相当重症じゃないと受け入れてくれない。軽症例は自分のような一般精神科医が診ることになっている。日本では何か良い治療やってないですか。僕は本当に苦手なんですよ。」とおっしゃっていました。「日本にもそんな魔法のような治療はありません。この町の専門ユニットの治療方法を知りたいと思ってわざわざ来たくらいですから。」とお答えしました。「ユニット」というのは、入院施設、デイケア、外来などを持っている専門治療施設のことですが、外来患者に対する看護師や作業療法士の訪問など、在宅での治療にも力を入れています。

偶然ながら次の日は、そのユニットを訪問する日でしたが、そこでは、ソーシャルワーカーさんたちが、ある患者さんの社会復帰について喧々諤々と議論をしている場面に遭遇しました。「あの体重ではまだ仕事は無理!」「そんなことを言っているといつまでも社会復帰できない。チャリティーショップなら働かせてくれるでしょうよ。」というやりとりだったので、つい、前日お会いした精神科医とその患者さんが同じお店で働く場面を想像してしまいました。一緒に店番をすれば、あの医師は、摂食障害をもう少し近いものに感じられるかもしれません。

摂食障害は、研究面ではさまざまな発展があります。社会学や女性学という切り口もあり、また一方で、最近は遺伝子研究や脳画像研究なども盛んです。しかし、治療については「これだけで治る」というような万能薬のような治療法はなく、当事者とご家族と治療者の日々の地道な努力が欠かせません。日本の摂食障害の治療の向上のために、日本にも摂食障害専門治療センターを作ろうという運動も展開中で、ぜひこれも実現してほしいですが、一方で、基本的な治療は日本中どこに居ても受けられるということも、車輪の両輪のように大事なことではないでしょうか。

摂食障害:見る読むクリニック』は、受診を迷っている当事者や家族の方をまず念頭に置いて、治療のイメージをお示しした本です。付属のDVDでは、拒食症や過食症の模擬診察、模擬カウンセリングの様子や病気の解説なども見られます。すべてのケースで、この模擬面接のように時間をかけることはできないとは思いますが、摂食障害を専門にしていない医療関係者の方にも、日々の臨床の参考にしていただけると思います。

日本では、どの病院を受診するのも当事者の自由なので、「有名」な医師のところに患者さんが殺到するという事態が起こりがちです。特に新しい疾患の場合はそうなるようです。摂食障害も、これまでは、有名な医師のところでは初診数年待ちというようなこともありました。これに対して、『摂食障害:見る読むクリニック』では、「特別な病院を探し回るよりは、身近な病院で、できることから治していきましょう」というスタンスをとっています。地味ですが、これは大事な視点ではないかと思います。日本では、専門ユニットがないことは大きな問題ではありますが、一方で、摂食障害は、治療に取り組むのにご本人の勇気と忍耐が必要という側面もあります。治療への気持ちの壁を壊すには、身近な病院で体重を量ったり血液検査を受けるなど、どの病院でもできる「普通」の処置が役に立つことも多いのです。

Oxfamでボランティアをしていた医師の話の通り、専門ユニットと一般精神科医の連携は、海外でも必ずしも理想的に行われているわけではありません。専門ユニットのない日本から見ると専門ユニットがあるだけでうらやましいですが、「あるだけ」ではだめで、専門ユニットと一般医療機関のコミュニケーション、そして何より当事者や家族の方々とのコミュニケーションは欠かせないことなのだと思います。

日本にも多くのチャリティーショップができないでしょうか。患者さんの社会復帰援助にもなり、社会貢献にもなります。そんな日が来たら、私も店番ボランティアをしたいと思っています。

西園マーハ文先生の本、好評発売中

摂食障害:見る読むクリニック ―DVDとテキストでまなぶ―
(鈴木眞理,西園マーハ文,小原千郷 著)


遊佐安一郎先生の2日間ワークショップ 遊佐安一郎先生 内田江里先生 感情調整困難支援研修II「臨床実験コース」 
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