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星和書店
こころのマガジン
Vol.51 2007.4
  • 「精神科治療学」賞のお知らせ
    精神科治療学では第22巻1号〜12号に掲載された研究報告,臨床経験,総説の中から1編を選び,第4回「精神科治療学賞」を贈ります。受賞者には賞状と額、副賞として賞金が贈られます。
  • 「臨床精神薬理」賞のお知らせ
    臨床精神薬理では第10巻1号〜12号に掲載された投稿論文を対象に優秀論文を選定し、「臨床精神薬理」賞を贈ります。 受賞者には賞状と額、副賞として賞金が贈られます。
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  非行と犯罪の精神科臨床
非行と犯罪の精神科臨床 
矯正施設の実践から 定価2,940円
矯正施設―刑務所、拘置所、少年院、少年鑑別所―での、触法精神障害者の治療体験をもとに、数多くの事例を提示。「矯正施設」という特殊な環境のなか、どのように治療を施していくのか。矯正施設の現場からの生(なま)の声が臨場感をもって読む者に迫る!
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こころのりんしょうa la carte
定価2,310円
季刊 精神科臨床サービス 第7巻2号
【特集】 <失敗学>から学ぶ精神科臨床サービス
本特集では、失敗から学ぶために治療的失敗あるいは治療的膠着状態に焦点を当てた。まず精神科臨床サービスにおける失敗学とは何かといったことを概説し、様々な治療場面で遭遇した失敗事例を挙げながら、失敗の経験から導き出した課題、失敗による損失を最小限にするための注意点、精神科臨床サービスの進歩と向上を図るために必要な工夫などについて紹介した。
精神科治療学
定価3,024円
月刊 精神科治療学 第22巻4号
【特集】 いま「解離の臨床」を考える II
前号に引き続き「解離」について特集。うつ病やアスペルガー障害など,時に解離症状がみられる疾患への対応や,解離の評価尺度について取り上げた。またフロイト,ジャネ,パトナムがそれぞれ提唱した解離(転換)論の理論的背景を探る。
臨床精神薬理
定価3,045円
月刊 臨床精神薬理 第10巻5号
【特集】 医療観察法と薬物治療
平成17年7月から施行されている医療観察法により、重大な他害行為を行った心神喪失者の社会復帰を目指した医療が行われている。医療観察法における指定入院病棟・指定通院医療機関での薬物療法や、治療抵抗性統合失調症・物質使用障害を併発した触法精神病例に対する薬物療法、デポ剤治療について概説し、医療観察法において手厚く配慮された対象者の人権擁護システムについて紹介した。

不安を克服する

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昔、日本では、PTSDはあったのだろうか

ここのところ銃による事件が立て続けにおきています。銃が日本社会でも手に入りやすくなっているようです。同時期にアメリカでは、バージニア工科大学で乱射事件があり、32人が犠牲になりました。この乱射事件について、連日、テレビや新聞が大きく報道しています。

乱射事件の犯人の精神医学的問題に関心が向けられていますが、学内で起きた事件であり、犠牲者の周りにいた人たちが、計り知れないショックを受けていることは間違いないでしょう。同級生が目の前で銃に撃たれた、という状況を想像するだけでも、その精神的衝撃がいかに大きいものか理解できるでしょう。トラウマ後の精神的問題への対処では、ベトナム戦争以後も数々の大きな災害、戦闘など経験しているアメリカは、それなりのシステムを持っているようですし、研究も進んでいます。

もしこのような乱射事件が日本で起こったらどうでしょうか。今までにも小学校侵入事件で、何人かの子どもたちが刃物で刺された事件がありました。非常に大きな精神的ショックを受けた子どもたちのその後は、どうなったのでしょうか。

精神科医療では、治療施設に来る人たちを治療対象としていました。アルコールを一日中飲んでいて、家族が困っていても、アルコール依存を起こしている本人が治療を受けようと治療施設の門をたたかないと、治療が始まらない、というのが、今の医療状況の現状かもしれません。

現実問題として、精神科関係の専門家の人数を考えても、マンパワー不足で、十分な対処行動を取れるかどうか、疑問です。災害や事件は、日本のどこで起こるかもわかりません。地方で精神科医の数が減っています。犯罪を起こす人の精神的問題と犯罪の被害者の精神的問題、そのどちらにも精神医学はかかわっていかなければならないのでしょうが、マンパワー不足は明らかです。

医学部を卒業し、2年の研修を受けて精神科に入ってくる医師の数は、その年、何人くらいになるでしょうか。大学の数から見ても、そう多くは望めないでしょう。1年に生まれる数が100万人として、その中から精神科医になる可能性のあるのは、0.03%くらいでしょうか。産婦人科医、小児科医の不足が社会問題になっています。小児科医の過酷な労働状況が話題になっておりますが、今後の災害や事件の可能性を考えると、精神科にも厳しい要求がよせられるかもしれません。

私どもは、この状況を鑑みて、必要とされる情報の出版をめざして、日々努力してまいります。

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