前著『精神科臨床の自由』の刊行以後5年間の著者の論文やエッセイを、「看護の現象学」「病跡学」「暦時間」「中井久夫」の4つの章にまとめた著作。看護師へのインタビューをもとにした現象学的分析を通じて「看護の現象学」を掘り下げる。「病跡学」では、著者が10年ほど温めていた「虎気質」という概念を提示し、その観点から車寅次郎・鳥井信治郎・寺田寅彦・斎藤茂吉の4人を病跡学的に考察した。「暦時間」では、精神疾患における時間体制とうつ病との関連について考察した。最後に、著者が師と仰ぐ「中井久夫」についての文章を集めた。
長年の臨床と研究から導かれた視点を、著者ならではの筆の走りで記した一冊。
杉林稔 著
定価 2,970 円(本体2,700円 + 税) 四六判 上製 344頁
ISBN978-4-7911-1160-2〔2025〕