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星和書店
今月の新刊 next

認知行動療法 実践ワークショップ Iケースフォーミュレーション編(1)

認知行動療法 実践ワークショップ I
ケースフォーミュレーション編(1)

インテーク面接・初回セッション・応急処置

伊藤 絵美 編
A5判 並製 496頁  ISBN978-4-7911-0748-3〔2010〕
定価 3,990円(本体3,800円)

『認知療法・認知行動療法カウンセリング初級ワークショップ』の続編シリーズの刊行がついに始まった。現場で効果的に認知行動療法を実践するためのノウハウが、ワークショップ形式で具体的かつ懇切丁寧に惜しみなく紹介されている本シリーズは、認知行動療法家として真に成長したいと願うセラピスト・カウンセラーにとって必読の書である。第1巻の本書は、認知行動療法の導入(インテーク面接・初回セッション)および初期段階での応急処置(自殺企図対策など)についての解説である。

認知療法・認知行動療法 治療者用マニュアルガイド

認知療法・認知行動療法 治療者用マニュアルガイド

DVD「うつ病に対する認知療法的アプローチ」付き!

大野 裕 著
A5判 並製 144頁  
ISBN978-4-7911-0749-0〔2010〕
定価 2,625円(本体2,500円)

うつ病の治療で薬物療法によって十分な反応が得られない場合、認知療法・認知行動療法を追加することにより、うつ病が改善することが実証された。こうして認知療法・認知行動療法の効果が裏付けられ、医療保険の対象として認められることになった。そのため認知療法・認知行動療法を提供できる専門家の養成が急務となっている。本書は、認知療法・認知行動療法の基本的なアプローチについて詳しく解説した治療者養成のためのテキストである。

dvdDVDの内容…認知療法・認知行動療法の解説とロールプレイとで構成されている。

自分でできる認知行動療法

自分でできる認知行動療法

うつと不安の克服法

清水 栄司 著
A5判 並製 225頁
ISBN978-4-7911-0747-6〔2010〕
定価 1,995 円(本体1,900円)

認知行動療法は、うつや不安障害の治療に極めて効果的で、薬物療法に勝るとも劣らない治療効果が医学的に証明されているサイコセラピー(精神療法・心理療法)のことです。認知行動療法の認知とは「考え」のことです。うつや不安を引き起こす原因となっている認知や悪循環を引き起こす行動のパターンを見つけ出し、それをよい循環に変えていくことで、症状を改善することを目指します。本書は、うつや不安に悩む人のために、自分一人で認知行動療法を行うワークブックとして、全く新しく作成されました。

  雑誌の最新号 next

精神科治療学
定価 3,024
月刊 精神科治療学 第25巻9号

特集: 「急性精神病」を再考する

精神科医療とりわけ救急現場では最も中心的な治療対象の1つである急性精神病の特集。概念の歴史、診断、治療の現状、生物学的特徴など、急性精神病の臨床実践を紹介。さらに各論として女性、 器質性精神病、てんかん、パーソナリティ障害、精神遅滞、心因、アスペルガー症候群と急性精神病の関係を取り上げた。症候論の少ない急性精神病にスポットを当て、その全容を明らかにし、明日からの臨床へ活かす必読の特集 !

臨床精神薬理
定価 3,045
月刊 臨床精神薬理 第13巻10号

特集: 抗うつ薬導入50年

最初の抗うつ薬imipramineが本邦へ導入されてから2009年で50年の節目を迎えた。本特集では、わが国における抗うつ薬開発の歴史を振り返り、続いてreserpine、三環系、四環系、SSRI、SNRI、NaSSAの果たした役割と今後の可能性、そして今後期待される新たな抗うつ薬開発について展望した。

こころのりんしょう à·la·carte
定価 1,680
季刊 こころのりんしょう à·la·carte 第29巻3号

特集:摂食障害

増加の一途をたどる摂食障害の現状と今後について、第一線で活躍中の治療者や研究者が、最新の知見を盛り込み、わかりやすく解説。拒食症・過食症の基本的理解から、診断・治療、予防活動、家族会、セルフヘルプ活動まで、医療関係者のみでなく、保健・福祉・教育関連の方々や、発症者やその家族にも役立つよう幅広い視点から取り上げた。

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おわかれ

今月も悲しい連絡がありました。9月10日に永田俊彦先生の訃報が届きました。12日に行われたご葬儀で、先生にお別れしてまいりました。
26年前、ある学会で市橋秀夫先生と臨床に根差した雑誌を作ろう、と密談していました。そこで、永田先生にお声をかけ、私と永田先生と市橋先生の3人で、医科歯科(東京医科歯科大学)の確か1階にあった喫茶室で、何度も作戦会議を開きました。まずは、核となる編集委員を選ぼう、ということになりました。新進気鋭の若手精神科医8人が参加してくださることになり、温泉で泊まりがけで発刊の準備会を計画しました。
中井久夫先生に編集主幹をお願いし、湯河原で総勢12名で合宿をしました。その頃の星和書店は、まだまだ経済力のない貧乏出版社でしたので(今でも決して豊かではありませんが)、湯河原の安旅館が会場となりました。今でも初代編集委員の先生方の語り草になっていますが、狭い一部屋に何人かの先生方が雑魚寝状態でした。 思い出しても本当に赤面してしまいます。
翌年の1986年、精神科治療学が発刊されました。その編集後記を永田先生がお書きくださいました。この編集後記は、25年たった今現在でも、ちっとも色あせず、光り輝いております。以下のように書かれています。

「今や世をあげて雑誌ブームである。精神医学界もその例外ではない。新しい雑誌を刊行するには、それなりの時代の要請がなければならない。精神科治療に関する雑誌の発刊を目指して一年間、悩んできた。果たして、われわれはしかとした治療学を持っているのであろうかと。  若い世代の精神科医のなかには、治療論を性急に求めるあまり、現在の精神医学に疑問を持つ人もいるようだ。しかし、これまで治療学が軽視されていたのでは毛頭ない。
 われわれの日常のプラクシスのなかで、何げなく交す言葉、タイミングの良い身体検査、信念を込めた処方、通院間隔の決定等々の微細なことが治療的に作用していることは確かである。しかし、これらのことを言語レベルに鈍化することは極めてむずかしい。少しでもこれらのことを言語に乗せ、検証を重ね、普遍化する試みが必要であろう。本誌の刊行のホンネはこんなところにある。・・・・・・・」

 それから2カ月に一度、精神科治療学の編集会議が開かれました。お昼の1時から夜まで優に6時間を超える名物編集会議でした。そして年に一度の2日間の合宿編集会議。
 永田先生、今でもこの伝統は続いております。精神科治療学もこの領域で一番読まれている雑誌へと成長いたしました。先生がしっかりと築いてくださった基礎があればこそだと思います。ありがとうございました。
 ご冥福をお祈り申し上げます。

 精神科治療学の8月号は、「DSM−5ドラフトをどう考えるか」が特集のテーマで、16の項目についての論文が掲載されています。このような日本の先生方のコメントなどは、アメリカに伝わるのでしょうか。ドラフトを発表したことも、フィードバックを期待してのことかと思います。それにしても、まだまだこれから大変な作業が続くようです。
 2013年の出版に向けて、紙の上では良いと思われたことが、臨床現場で用いられた時、効果的に働くのであろうか、という実地検証が今月から行われるようです。それがかなりの規模なんですね。 ドラフトがネットに発表されてから、8600通以上のコメントが来たそうです。
 さてこれからDSM−5の診断が実際の臨床現場で意図されたように機能するか、という臨床試験が始まります。時間も資源も限られているため、すべてにおいて行うことができないため、重要度に応じていくつかの診断が選ばれるようです。例えば、ADHD,自閉症スペクトラム障害、むちゃ食い障害、行為障害、自殺企図を伴わない自傷、強迫性障害、児童双極性障害、気分変調を伴う機嫌調節、さまざまなパーソナリティ障害、物質使用障害、などが対象になるようです。大学病院など大規模な医療機関や個人開業のクリニックなどから参加する精神科医は、3500人にのぼるそうです。11の大規模医療機関が、それぞれ300人程度の患者さんに参加してもらい、3500名の臨床家が、2人の患者さんに参加をお願いするとして、総勢1万人の患者さんを対象に臨床実験を行うそうです。
 この臨床試験は、2011年の3月まで行われ、その結果に基づいて、第二段階の試験が2011年の8月から12月まで行われるそうです。  診断基準が決まるまでには、何とも長い時間と驚くほど多くの人たちの労力が費やされていくのですね。この費用は、いったいどこから出るのでしょうか。

 涼しい日が続くと、あの暑かった日々を簡単に忘れてしまいます。世界の中でも日に日にいろんなことが起こっていて、つい先日大きく報道されたことが、1週間もたつとすっかり忘却の彼方へと押しやられます。メキシコ湾での石油噴出事故も、今ではテレビで報道されませんが、幾度となくハリケーンが襲い、そして石油で汚染されたメキシコ湾岸の人たちの苦しみは、計り知れません。ブリティッシュ・ペトローリアム社は、この地方のメンタルヘルス対策として52億円を拠出したといいますが、全体の賠償額から考えて、この金額はかなり少なく思えます。

 大事なところに必要な費用が優先的に回ってくるという社会になってほしいものです。

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