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星和書店

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こころのマガジン
  今月の新刊 next
大原健士郎選集(2)

あるがままに生きる

「あるがまま」に生きることによって症状を克服し、病的・非建設的になっている精神的エネルギーを建設的に生かすことができる。神経症の患者さんの体験や悩みに対し、わかりやすく解説。

大原健士郎(浜松医科大学名誉教授) 著
定価
2,415円(本体2,300円)
四六判 上製 288頁 ISBN978-4-7911-0674-5〔2008〕

あるがままに生きる

ドクトル外交官 世界を診る

フランス、アフリカ諸国、中華人民共和国の国々を渡り歩いた外務省医務官が、徒然なるままに綴った10年余りのレポート。報道では伝えられない現地の医療の実態、人々の暮らし、さまざまな事件に翻弄された日々が、冷静かつユーモアあふれる筆致で鮮やかによみがえる。

勝田吉彰 著
定価
1,995円(本体1,900円)
四六判 上製 236頁 ISBN978-4-7911-0673-8 〔2008〕

ドクトル外交官  世界を診る

精神科症例報告の上手な書きかた

貴重な症例を経験し、それをどのように報告すればよいか。専門誌の編集委員として、多くの症例報告を査読してきた筆者が、執筆のノウハウを提供する。文章の書き方に至るまで詳しく解説する。

仙波純一 著
定価
1,890円(本体1,800円)
四六判 並製 152頁  ISBN978-4-7911-0672-1 〔2008〕

精神科症例報告の上手な書きかた
  雑誌の最新号 next
精神科治療学
定価 3,024
月刊 精神科治療学 第23巻7号

特集: 「軽いうつ」「軽い躁」― どう対応するか ― I

うつ病の増加,うつ病の軽症化ということが言われてすでに久しい。この変化には「新たな抗うつ薬の登場」「社会の変化」「精神科臨床場面の変化」そして「文化の変容」など多くの要因が絡んでいると思われる。本特集は,そうした多要因が交錯しながら増加してきたうつ状態の中でも,特に「軽いうつ」と,それと関連して論じられることの多い「軽い躁」とに焦点を当て,その臨床上の意味と対応策を探ろうとする試みである。(「特集にあたって」より)

臨床精神薬理
定価 3,045
月刊 臨床精神薬理 第11巻8号

特集: ドパミン再考

抗精神病薬や抗うつ薬の作用機序におけるドパミンの役割、ドパミンD2受容体遮断作用の抗精神病薬や抗うつ薬における役割、また、ドパミン関連遺伝子や、ドパミン・アゴニストによる随伴症状など、精神障害の様々な病態や治療におけるドパミンの役割に関して、現代的意義を再考した特集。

臨床精神薬理
定価 2310
季刊 精神科臨床サービス 第8巻3号

特集: 見通しをもつことで深まる精神科臨床サービス

症状や薬、生活や人生についての今後の見通しは、精神科の医療や福祉を利用する当事者や家族の誰もが知りたいことであろう。しかしながら、エビデンスになじみにくい「見通し」について、専門家の間で正面から論じられることは少ない。どうしてそういう見通しをもてたのかと問われても意識化しにくい。後輩にどう伝えたらよいかわからないし、自分でどうやって身につけたのかも判然としない。また、未来を見通すことはなかなか難しい。こうした見通しについて、多くの専門家の経験をまとめたというのがこの特集である。冒頭では、当事者や家族に見通しについての経験や思うところを述べていただいた。見通しに関する確かな知識を得ることが困難なだけに、他に類をみない貴重な特集テーマといえるであろう。


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自尊心、自尊感情、自己評価

当社発行の「いやな気分よ、さようなら」の著者デイビット・バーンズ先生の新しい著書の編集作業をしていて、self−esteemをどう訳そうかと思案し続けております。 そのため、self−esteemという文字が載っていると、ぱっと目に付きます。先日、インターネット上でいろいろ検索していたとき、「若い精神科医にとって、self−esteemを保つことがむずかしい」というタイトルに目が留まりました。 アメリカの女性精神科医が書いたので、とても印象深い記事でした。画面で読んで、またネットでいろいろ検索しているうちに、その頁がどこかにいってしまいました。英語で読んだものをうる覚えで日本語に要約してみます。以下のようなことが書かれていました。

「精神科医として、患者さんと自尊感情についてよく話します。患者さんが自尊感情を高めることが出来るように、自己評価を改善できるように、いつも考えています。特に人生が困難続きで失望で一杯の時には。同時に、自分自身の自尊感情を、精神科医としての自己価値観をどう維持するか、考えてしまいます。

それは易しいことではないんです。病院のピラミッド組織の中で、精神医学は、下のほうなんです。治療計画の中でおまけくらいにしか見られていないこともあります。苦しみから解き放たれた患者さんが、精神医学を周囲にほめてくれることもほとんどありません。社会的スティグマから、精神科にかかっていたとは、言わないんです。精神科医のことをテレビなどで悪く言う有名人も少なくありません。心臓の専門医を悪く言う人たちは、いないでしょうね。

精神科の患者さんは、社会の中であまり良い待遇を受けてはいません。病気の特質からして、欲求不満がたまり、怒りを感じていることが多いのです。そのため、治療者の私も、感謝されることもなく怒鳴られ、ほめてもらえることもなく脅されることの方が多いのです。病気の自然経過なのでしょうが、再発すると責められます。癌が再発したからといって、癌専門医は、その責任を取らされるでしょうか。うつを繰り返す人が、うつになったとき、なぜ私は責任を感じるのでしょうか。治療の道具が自分自身である精神科医にとって、非難や罪意識を背負ってしまいがちです。

患者さんのために、保険会社や、福祉事務所と戦うことも多々あります。処方量一つとっても、制限があります。高い薬だけでなく、ジェネリックでもあるんです。入院を保険会社に認めさせることも、なかなか大変です。このように欲求不満が大きく、士気喪失し、官僚組織と戦い、なぜ毎日この仕事をしているのでしょうか。どのように自分の職業的自尊感情を維持するのでしょうか。精神科医であることにプライドをどう持ち続けるのでしょうか。

私が毎日をやっていけるのは、小さな喜びがあるからなのです。感謝祭のときなど家族で食べるお菓子を私に持ってきてくれる子どもの患者さんがいます。病院の中で、あたかもサファリーを探検しているかのように振舞って私を笑わせてくれる思春期の患者さんがいます。娘さんが退院して一年後に状態がとても良いですとお手紙を私にくれる家族がいます。待合室に顔をだすと、飛んできて私に抱きつくよちよち歩きの子どもがいます。学校の成績表を誇らしげにもってきて見せてくれる高校生の患者さんがいます。

この本当に短い一瞬一瞬を手放したくないんです。本当に小さなことかもしれません。精神医学においては、他のことでもそうでしょうが、成功とは、いいことが少し増えることなんです。この小さな一つ一つが宝物です。疲れて、欲求不満になって、この職業を投げ出したくなるとき、もらったお菓子の味を、絵葉書にかかれている鯨の絵を、サファリーの冒険のスリリングな体験を、思い出します。保険制度が変わるまで、他の科との平等な治療待遇が現実になるまで、心の病に対する偏見がなくなるまで、精神科医としての厳しい現実と患者さんから与えられるやさしい贈り物とを天秤にかけるんです。 そうすると、私をこれ以上幸せにしてくれるものは他にはない、と分かるんです」

周りの人たちに喜んでもらえること、周りの人たちが幸せに感じてくれること、は、決して高価で大きなものではないのかもしれません。どんなに高いものでも、母親にとっては、赤ちゃんのにこっとした笑顔には勝てません。私どもが出版を続けていて、本当に良かったと思うときは、私どもの出版物を読んだ読者が、いい本だったよ、とても役に立ったよ、病気が良くなったよ、などの読者カードが送られてきて、それを読ませていただいたときです。本が出来るまでの苦労した数年間が、ぱっとばら色に輝いてきます。

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