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星和書店
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私はこうして摂食障害(拒食・過食)から回復した

私はこうして摂食障害(拒食・過食)
から回復した

摂食障害エドと別れる日

ジェニー・シェーファー、トム・ルートレッジ 著
安田真佐枝 訳

四六判 並製 400頁 ISBN978-4-7911-0897-8〔2015〕
本体価格 1,700 円 + 税


摂食障害から回復するための実践的アドバイスが満載!

エド(Ed)とは何か? それは、Eating Disorderの頭文字をとって名づけたもの。著者ジェニーは自分の中に潜む摂食障害を、1人の人格としてとらえエドと呼ぶ。「君は太っているよ」とささやくエドの声。このエドの思考と、自分の健康な部分の思考とを認識し、区別し、それに従わないようにしていくことで、エドとの別れを実現し、摂食障害を克服する。やせ願望、過食嘔吐をそそのかす声、拒食を強いる声、それは、実はみんな自分自身のものというよりも、摂食障害エドという病気が引き起こす症状なのだった。
ユーモアと希望に満ちながら、実践的で現実的でもある本書は、当事者に対しては回復への具体的なアドバイスを与えてくれる。家族や友人、医療・教育関係者に対しては、摂食障害に苦しむ人の体験がどのようなものなのか、しかし回復を目指して毎日歩んでいくことで、必ず回復へとつながっていく、ということを教えてくれる貴重な体験談となっている。

精神疾患のバイオマーカー

精神疾患のバイオマーカー

中村 純 編集

A5判 上製 304頁 ISBN978-4-7911-0895-4〔2015〕
本体価格 5,800 円 + 税

精神疾患の生物学的な指標(biological marker)の最新情報をまとめた、本邦初の書。カテコラミン代謝産物、脳由来栄養因子、各種免疫関連物質、一酸化窒素、遺伝子研究、認知機能検査、さらにMRIやMRSなどの画像研究をもとに、統合失調症やうつ病の病態を明らかにし、治療場面でのヒト情報から精神症状と相関する生物学的マーカーを探求する。より精緻な治療への指標となる研究成果が満載 !

子どもの精神科臨床

子どもの精神科臨床

齊藤万比古 著

A5判 上製 400頁 ISBN978-4-7911-0896-1〔2015〕
本体価格 4,500 円 + 税

児童思春期精神医学の第一人者が、初めて子どもの精神科臨床について総括的に論じた渾身の一冊。子どもの育ち、とりわけ一貫して関心を寄せてきた思春期心性についての理解と、それらの臨床への応用の成果がまとめられた本書は、子どもの心の臨床における極めて重要な指針となる。P・ブロスの思春期論を核としたその特性、児童思春期の精神疾患の生物‐心理‐社会的な捉え方、子どもの精神疾患の概念の整理、様々な対象や設定に応じた精神療法論など、いくつかの大きなテーマにそって、子どもへの温かな眼差しとともに、心の診療のあり方に関する著者の現在の思想が明確に示されている。子どもの心の臨床に携わるすべての方へ。

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精神科治療学
本体価格  
2,880
円+税
月刊 精神科治療学 第30巻3号

特集:自殺予防と精神科臨床―臨床に活かす自殺対策―I

自殺対策の実践例が満載!わが国の自殺者数は年間3万人を下回ったとはいえ、まだ多数であり、精神医療が自殺対策に重要な役割を担うことは論を待たない。本特集は2号にわたり、現時点でのわが国独自の自殺対策の実践例に加え、海外の自殺理論や臨床実践を紹介。今月の特集Iでは自殺予防の臨床に必要なエビデンスと理論を取り上げた。日常臨床における自殺対策のヒントが得られる特集。
JANコード:4910156070351

臨床精神薬理
本体価格   
2,900
円+税
月刊 臨床精神薬理 第18巻4号

特集: 心身症と周辺領域の治療戦略―薬物療法の位置づけと有効性―

心身症概念は拡散しており、medically unexplained symptoms、身体苦悩症候群がある一方、精神科領域では身体表現性障害が近いものの、さらにその周辺疾患も存在する。とくに、薬物療法に関しては簡単な記載にとどまっている場合が多く、臨床家にとって役立つ情報となっていない場合が多い。そこで本特集では、この領域の概念の整理とこれらの疾患の治療、特に薬物療法に焦点を当てて、それぞれ気鋭の先生方に現状を解説していただいた。
ISBN:978-4-7911-5210-0

今月のコラム
今月のコラム
13年前に精神科を受診して
(当事者)  栗山 朋子

精神科の門をたたいてから、13年がたちました。
 先生の話では、私は、そのずっと以前から病気だったそうです。

私は病院には通っていたものの、病気であるという事実をつい最近まで、受け入れられずにいました。
 あなたの病気は薬だけでは治らない。カウンセリングを受けるしかない。
 そう言われても、医師にもカウンセラーにも反抗するばかりで、治療はうまくいきませんでした。

まわりの私の評価は、リーダーシップがあり、明るく、社交的で、行動力があり、ポジティブ思考。
 いつも、ひょうきんで、ふざけて、はしゃいで「いつも楽しそうで、悩みがなさそう」とまで言われる始末。

でも、それは、表面上の私でしかない。

裏の私は、20回以上の就職・退職を繰り返し、何度も携帯を契約しては解約し、何度も友達を作っては捨て、まわりの人間関係を総入れ替えし、何度も自殺をほのめかし、行きずりのセックスに同性愛、買い物依存、万引き、ギャンブル、麻薬、偽名の使用と、行動に一貫性はなく、思いついたら即行動の嘘だらけの日々。
 思いつきで何度も引越し、果ては日本が合わないんだと、アメリカにまで飛び出しました。

でも、今は治したい。とにかく、この残酷な病気を治したい。
 その一心で、この手記を書いています。

私が、間違いなく、境界性パーソナリティー障害だと、今は、落ち着いて受け入れられる気がするからです。

はちゃめちゃに生きて、人生が破滅に向かい最後に死んでしまう。私は自分の人生がそんなものだと、心のどこかで思ってきました。
 実際、人生で一番楽しかったであろう20代の半分は、約30錠の薬を飲み、毎日死んだように眠っていました。
 病院を変え、薬を減らして、やっと人間らしくなったと思ったら、今度は髪をピンクに染め、奇抜な服装をして、無責任で無謀な行動をするようになりました。

生きてる意味がない。どうなってもいい。死んでもかまわない。

今もたまに、その考えにとらわれます。
 でも、その一方で、自分が治ると信じたいのです。
 絶望と破滅から抜け出したい。

手当たり次第に人や会社を振り回してきました。無責任で社会人としての行動がとれません。誰とも安定した関係が築けません。仕事も長く続きません。友情は3ヶ月くらいで終わってしまいます。愛情は怖くて、初めから信じられません。

死にたくなったり、なんでもできそうな気がしたり、気持ちは浮き沈みが激しく、短時間で言うことが変わってしまいます。

常に死と隣り合わせな気持ちがついて離れないのに、急に驚くほど生き生きとすることもあり、自分がどんな人間なのか分かりません。

強迫性障害、摂食障害、広場恐怖症、解離、とさまざまな病気が併発し、入院したこともありました。

なのに、表面上は社交的で、おしゃべりで、誰とでもすぐ仲良くなり、目立ちたがり屋で、人を笑わせるのが大好きなのです。

だからこそ、自分が何者なのか、全く分からない。

そして、笑って、みんなと別れたあと、孤独だ、死にたい、生きる意味がわからないと途方にくれ、涙がとまらないのです。

どれが本当の自分なのか、探しても見つからない。

でも、最近、私は病気なんだ、治せばいいんだ、そうすれば、この悪夢は終わるんだ、と思えるまでに回復しました。

今日はクリスマス。

今、この瞬間は、私に関わった全ての人たちに謝りたい。そして感謝したい。
 本当にごめんなさい。
 生き直すことはできないけれど、これからは、ちゃんと治療を受けて、地に足をつけて生きていきたいです。
 本当に申し訳ありませんでした。

「大好きでたまらない。だからこそ、あなたが大嫌い。だけど、お願い、私から離れていかないで」

この言葉を受け止めて、私の回復を待ってくれている人たち、本当にありがとう。

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