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星和書店
今月の新刊 next
慢性疼痛の治療:治療者向けガイド

慢性疼痛の治療:治療者向けガイド

─認知行動療法によるアプローチ─

ジョン・D・オーティス 著
伊豫雅臣、清水栄司 監訳
A5判 並製 144頁 ISBN978-4-7911-0777-3〔2011〕
定価2,100円(本体2,000円)

医療従事者が予想するよりも、強い痛みが長期間続いていると訴える患者さんは数多くいる。このような長期に持続する痛み、慢性疼痛に関しては、認知行動療法が有効であることが知られている。この治療者向けガイドは、患者用ワークブックを用いて患者さんを指導するためのもので、細かくテーマごとに分けられた11のセッションによって、治療目標を一歩ずつ確実に達成していくことが可能となる。

慢性疼痛の治療:患者さん用ワークブック

慢性疼痛の治療:患者さん用ワークブック

─認知行動療法によるアプローチ─

ジョン・D・オーティス 著
伊豫雅臣、清水栄司 監訳
B5判 並製 96頁 ISBN978-4-7911-0778-0〔2011〕
定価1,575円(本体1,500円)

長期間続く痛みは大変苦しいものですが、この慢性疼痛にも認知行動療法的アプローチが有効であることがわかっています。患者さんは、このワークブックにある11のセッションを1つ1つ学び実行していくことで,心身の悪循環に変化をもたらし,痛みを再びコントロールし,さまざまな仕事や生活を活動的に行うための第一歩を踏み出すことができます。医療関係者は治療者向けガイドとの併用で、患者さんを指導します。
耐え難い感情に苦しんでいるすべての人にとって、本書は感情をうまくコントロールするための実践ワークブックです。

緩和ケアにおける心理社会的問題

緩和ケアにおける心理社会的問題

マリ・ロイド=ウィリアムズ 編
若林佳史 訳
A5判 並製 416頁  ISBN978-4-7911-0776-6〔2011〕
定価 3,465円(本体3,300円)

緩和ケア従事者にとって、終末期に関わる心理社会的問題は、身体症状の問題よりも対処が難しく、現場で戸惑うことが多いに違いない。これらの問題は、治療可能な疾患における問題とは異なる独特のものであり、また極めて重要である。緩和ケアの社会的・心理学的最新知見、臨床実践の検証、広範囲にわたる文献を網羅した本書は、現場で試行錯誤している緩和ケア従事者に信頼性の高い実践的ガイドラインを提供する。

自傷行為救出ガイドブック

自傷行為救出ガイドブック

−弁証法的行動療法に基づく援助−

マイケル・ホランダー 著
藤澤大介、佐藤美奈子 訳
四六判 並製 448頁  ISBN978-4-7911-0779-7〔2011〕
定価 2,520円(本体2,400円)

本書は、自傷行為をする子ども(思春期・青年期を含む)を理解し、彼らにどう接するかについての指針を提供するガイドブックです。弁証法的行動療法(DBT)という、自傷行為を減らすことが科学的に実証されている治療法の理論に基づき、具体的な症例を多く用いてわかりやすく子どもの自傷行為とその対応を解説します。親や心理的ケアの専門家、教師、児童相談所の職員など、子どもに関わる全ての人々におくる必携の一冊。

  雑誌の最新号 next
精神科治療学
定価 3,024
月刊 精神科治療学 第26巻7号

特集:サイコオンコロジーの現場から I
―緩和ケアにおける精神医学的問題―

がん患者の増加に伴いサイコオンコロジーの重要性が増し、さらに緩和ケアの診療報酬が加算され、一般精神科医もこの分野への参加、協力、助言などを求められる機会が増えている。今号と次号では、現在のサイコオンコロジーの臨床における重要な問題をできるだけ網羅的に特集。今号は特に緩和ケアにおける精神医学的問題(患者と家族の多様な苦痛とそのマネジメント、実存的苦痛の精神療法、終末期の苛立ちや攻撃性、せん妄への対応、オピオイドの副作用としての精神症状とその対応、抑うつと不安への対応、家族ケアと遺族ケアなど)を取り上げた。今号と次号をあわせると、サイコオンコロジーの今日的問題の理解に役立つ。

臨床精神薬理
定価 3,045
月刊 臨床精神薬理 第14巻8号

特集:新規抗うつ薬escitalopram

2011年、最も典型的なSSRIといわれるescitalopramが承認された。国内外で高い有効性、安全性を示し、セロトニン・トランスポーターへのアロステリック作用等ユニークな薬理学的特徴を持つ。本号では 海外、国内の臨床試験成績、有効性・安全性の比較、薬理学的特徴などescitalopramのすべてを網羅する。
ISBN:978-4-7911-5166-0

精神科臨床サービス
定価 2,310
季刊 精神科臨床サービス 第11巻3号

特集:安全・安心の精神科臨床サービス:どこでも役立つリスク軽減の方法と実践

精神科臨床における「安全・安心」を考えると,リスクマネジメント,ヒヤリハット報告,行動制限などに目がいきがちですが,それが優先され過ぎると患者のリカバリーを阻害してしまうことになりかねません。本特集では,支援者と当事者が同一場面における「安全・安心」を交互に述べることでそのジレンマに正面から向き合うとともに,医療観察法病棟における安全への取り組みの最先端,コンコーダンススキル,アドボカシーなど,病院や地域のあらゆる現場で参考となるノウハウを伝えています。
ISBN:978-4-7911-7143-9

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こころのマガジン
臨床心理士 あや先生のコラム 
Vol.9 人生、ここにあり!

もうご覧になった方もいらっしゃるでしょうか? 7月23日から公開されている映画『人生、ここにあり!』を観て来ました♪ イタリアでは2008年に公開され、異例の大ヒットとなったそうですが、笑って泣ける、そして‘生きる’ことについて様々なメッセージを受け取ることのできる、味わい深い作品でした。

この映画の原題は『やればできるさ!』。舞台はバザリア法が公布された1980年代のミラノです。バザリア法とは、精神病院を閉鎖し、患者さんを地域で生活する中で支えようという世界初の法律で、この法律によって病院を出て、地域で暮らすことになった患者さんたちの実話を基に作られたのが、この作品です。

初めに画面に映るのは、デイケアと作業所の中間のような部屋。一応「協同組合180」という名前の組合組織ということになっています。そこでは手紙を封筒に入れ、宛名を書き、切手を貼るという作業を、みんなで分担してやっています。ものすごくまじめに住所を読みあげている人、やる気なさそうに窓の外をぼーーーっと眺めながらタバコを吸ってる人、切手を貼ってはいるけれどなんだか位置がめちゃくちゃな人……みんなバラバラです。そこへある日、熱血男登場! 他の労働組合で異端児扱いされ、異動させられたネッロがやってきます。

なにせ熱血男ですから、なんとなく作業している覇気のない様子を見て、仕事をする喜びを感じて欲しい! 組合を立て直そう!とみんなを集めて会議を開きます。とはいえ、そこにいるのは長年精神病院に入院していた患者さんたち。自分の意見を表明する機会が久しくなかった人たちです。挙手を求められても恐る恐る……周りをキョロキョロして、い、いいのかな……?という感じです。それでもポツリポツリと案が出て、なんとか‘床貼り’の仕事をみんなでしようじゃないか!と決まりました。

そうとくれば、今度は現場探しです。ネッロはいろんなツテをたどって床貼り作業をさせてくれるお客さんを探しますが、精神科に対する偏見があり、なかなか見つかりません。ネッロは自宅まで提供し、みんなに経験を積ませようとします。ある日やっと仕事が見つかり、みんな勇んで床貼り作業に取り組みますが、途中で木材が足りなくなってしまいました。なんとトラックで木材を運ぶ途中、仲間の2人が道に迷ってしまったのです。その上その2人は対人恐怖からか道を尋ねることもできず、頼みのネッロは葬儀に出席するため不在。どうしよう!……みんなが混乱する中、仲間の1人が作業の途中で出た廃材を持ってきます。そうか、これを組み合わせればなんとかなるかも?! そして出来上がったのは芸術的な寄木細工の床。これが評判を呼び、次々と依頼が舞い込みます。初めて手にする額の給料に、みんな大喜び! それぞれの特性を生かして役割も決まり、やりがいにあふれる日々にみんなの表情がどんどん変わっていきます。

そしてまた、この表情が! さすが俳優さんとはいえ、視線の動き、体の傾け方、発作の時の様子、話し方、すごくリアルでびっくりしました。パンフレットを見ると「オーディションに1年以上費やし、全員に数カ月間、精神保健施設などで研修を受けさせた上で最終選考を行った」と書いてあります。なるほど、それであんなに迫真の演技だったのですね。でもこの映画はリアルなだけではありません。コメディ分野で名を馳せてきたジュリオ・マンフレドニア監督が、随所に笑いを入れてくれています。精神科に対する偏見や、登場人物それぞれの人生模様など、見ているといろんな感情が湧いてきてちょっと苦しくなる場面もありましたが、笑いがそれを勇気や希望に変えてくれたように感じました。

映画の後半では、ネッロはもう一歩踏み込んで、薬を減らそう!という試みを始めます。薬を減らすことによって、今までぼんやりしていた感情がくっきり輪郭を持ってきて、それに伴って新たな出来事が……登場人物たちのあきらめ→期待→不安と揺れ動く気持ちに寄り添って観ていると、涙がこみ上げてきました。病院の中にいては起こらなかった出来事、その中には苦しいことも悲しいこともあるけど、それこそ人生! 人生、ここにあり!

これ以上お話してしまうとお楽しみが減ってしまうので、あとはぜひ、映画館に足を運んでみてくださいね。

最後に、私が好きだった登場人物は太っちょで愛嬌いっぱいのゴッフレード。いつも何か食べていて、誰かが落ち込んでいるとなんとかして慰めようとする優しい人です。その彼は「やったー!」と言いたい場面で両手を挙げて「エイドリアーン!!」と叫びます。ロッキーと似ても似つかぬ姿にクスクスクス……魅力溢れる登場人物ばかりなので、ぜひみなさんもお気に入りの誰かを見つけてください♪

(尾方 文)

『人生、ここにあり!』
 2011年7月23日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
 (c) 2008 RIZZOLI FILM
 ■公式HP■
 http://jinsei-koko.com/
 ■配給・宣伝■
 エスパース・サロウ

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