発達障害の臨床現場では、注意欠如・多動症(ADHD)の事例が自閉スペクトラム症(ASD)と並ぶほどの重要性をもちつつある。神経科学の発展に伴って薬物療法も次々と導入され、より医学的な対応が求められている障害であるが、その精神病理学的な理解については現状では極めて乏しいといわざるをえない。こうした問題意識のもと9人の精神科医がADHDの精神病理についてのワークショップを開催し、その成果を本書にまとめた。「エキスパート編」「臨床編」「精神病理編」の3部構成で、リサーチの最前線や薬物依存や気分障害など他病態との関連、さらに未開拓の精神病理学的探究など、ADHDの概念を立体的に論じ浮き彫りにする。大好評の「発達障害の精神病理」シリーズの第4弾!
内海健、
兼本浩祐 編著
神尾陽子、
芝伸太郎、
鈴木國文、
福本修、
松本俊彦、
吉川徹、
義村さや香 著
データ形式:フィックス
(画像形式)
定価
3,740 円(本体3,400円 + 税)
Contents
第I部 エキスパート編
第1章 |
ADHDが「医療化」するということ――「大人のADHD」再考 |
神尾 陽子 |
第2章 |
認知心理学的側面から見たADHD |
義村 さや香 |
第3章 |
ADHDのある人の「動機」の構造 |
吉川 徹 |
第II部 臨床編
第4章 |
薬物依存症臨床におけるADHD |
松本 俊彦 |
第5章 |
ADHDにおける観念連鎖の自律性について――Subclinical Bipolar Disorder仮説 |
芝 伸太郎 |
第6章 |
精神分析的なアプローチから見たADHD――「容器」-「内容」モデルを軸に |
福本 修 |
第III部 精神病理編
第7章 |
ADHD,planning,社会――認識論の歴史における「注意」の位置を補助線として |
鈴木 國文 |
第8章 |
ADHD的倫理とは何か――反定住民的あるいはノマド的 |
兼本 浩祐 |
第9章 |
不注意の精神病理――「大人のADHD」の症候学 |
内海 健 |