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子どもと家族を援助する

統合的心理療法のアプローチ

子どもと家族を援助する
問題や苦悩を抱えた子どもと家族の支援は、今、急務である。本書は、著者が長年にわたり実践し洗練させてきた介入法を、実にわかりやすく詳しく紹介している。治療法は、認知療法、行動療法、精神力動的遊戯療法、家族システム論を統合したものであるが、著者はケースによってそれらの比重を変えながら介入している。全章にわたり、理論的考察および概念が臨床ケースによって例解されており、理論と実践がうまく統合された形で提示されている。実例も豊富にあげられていて、読者の必要に答える待望の書である。
Ellen F. Wachtel著 岩壁茂(お茶の水女子大学大学院准教授)、佐々木千恵訳
定価 3,850 円(本体3,500円 + 税) A5判 並製 496頁
ISBN978-4-7911-0641-7〔2007〕
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Contents
第1章 個人としての子ども - - 「家族の中の子ども」療法への招待

  1. 家族療法からの子どもの排除
  2. 子どもとそのシステム - - 家族システム論の諸前提の検討
  3. 症状の緩和を超えて
  4. 統合的アプローチ
  5. システムと個人の部分的自律性
  6. 「個人」という概念
  7. 循環的精神力動
  8. 他の介入様式から借りる
  9. 今後に向けた統合的介入モデルの検討

第2章 親だけとの面接 - - 親の関心事を理解する

  1. 信頼を築く - - 協力関係を確立する
  2. 親の罪悪感
  3. 症状に対する態度とその症状の家族システム内での役割を見立てる
  4. 問題に対する親の解釈
  5. 家族システム論的、精神力動的、行動療法的視点からの臨床仮説を立てるための情報収集
  6. 重大な手抜かり
  7. 教師,ベビーシッター,その他の重要な大人との相互作用についての情報
  8. 家族システムの情報源として家族成員の気質に関する質問を利用する
  9. 注意欠陥障害,多動,学習障害
 10. 焦点を広げる
 11. 子どもと同様に親にも援助する
 12. まとめ

第3章 家族との面接を最大限に利用する

  1. 家族との第1回目の面接
  2. きょうだいを参加させる
  3. 最初の面接の雰囲気
  4. 家族面接で行うこと
  5. 家族システム内の相互作用を観察する
  6. 価値観と態度
  7. 子どもの反応性,開放性,ストレスへの対処法に焦点を当てる
  8. 親とのフィードバック面接
  9. 継続面接の一部としての家族面接
  10. 問題解決のために家族面接を利用する
  11. 境界と同盟に対する治療的作業
  12. 両親が離婚している場合に,コミュニケーションルールを決める
  13. 家族システムの力動の概観

第4章 子どもを深く知る - - 効果的な個人面接のための臨床的指針

  1. 子どもと面接する目的
  2. 子どもとの個人面接のためのいくつかの指針 - - 精神力動的プレイセラピーとの違い 
  3. 守秘義務に関して
  4. 最初の面接
  5. 話をする - - 事実から気持ちまで
  6. 子どもが重いうつ状態にあるとき,あるいは奇妙な行動をとるとき
  7. プレイ,物語作り,描画
  8. 「気持ち」にふれるボードゲーム
  9. 物語作り
  10. 自分の作った物語に対する子どもの反応
  11. 物語作りに関して一言
  12. パペット,人形,おもちゃのキャラクター人形で劇を上演する
  13. 粘土を使う
  14. 絵を描く
  15. 子どもの投影の素材を理解する - - 全般的考慮事項
  16. 子どもの敵意に対処する

第5章 不安,適応様式,防衛機制

  1. 適応の様式
  2. 防衛機制
  3. 防衛,対処方略が非適応的である場合
  4. 非適応的な防衛機制と対処の仕方に対する行動とシステムの強化因を理解する
  5. 十分に発達していない防衛機制
  6. 発達不全の防衛機制および対処能力の行動的要素と家族システムの要素を理解する
  7. 子どもの防衛と家族システム
  8. 統合的視点と詳細さに関して

第6章 主要な精神力動的概念

  1. 恐ろしい,あるいは否定された自己の側面
  2. 欠乏感,フラストレーション,見捨てられ感
  3. 激しい怒りと欠乏感の源としての過剰な充足
  4. 敵意があり攻撃的な子どもを理解する
  5. 過度に不安で依存的な子ども
  6. より深刻な障害をもつ子ども
  7. 対人的期待

第7章 精神力動的フォーミュレーションにもとづく介入

  1. 赤ちゃんごっこ
  2. 物語作りの技法
  3. 実話
  4. 親子両方に対する暴露として話をすること
  5. 物語作りと家族構造の変容
  6. すでに存在する物語を利用する
  7. 否定的な回想
  8. 肯定的な回想
  9. 家族システムへの介入と行動的介入の基礎を与えるために精神力動的理解を用いる
  10. 子どもの自分自身の怒りに対する恐れに対処するための制限の設定
  11. 陰性感情の表現を制限する
  12. 退行的衝動を過度に刺激するのを避ける
  13. 子どもの恐怖心
  14. 精神力動にそってクライエントに保証を与える
  15. もっと目をかけてほしいという子どものはっきり言葉にされない欲求を認識する
  16. 子どもと一緒にリラックスする
  17. 親が自分と一緒にいてくれることに関して統制感をもちたいという子どもの欲求を理解する
  18. 自律と習得への子どもの欲求について
  19. 教師と協力する
  20. 子どもとの個人面接で精神力動的フォーミュレーションを用いる
  21. 禁じられている題材についての話し合いを中和する
  22. 比喩的な物語を通じて無意識の葛藤や不安を扱う

第8章 行動的フォーミュレーションにもとづく介入

  1. 家庭で子どもが教えられること、学ぶことを理解する - - 強化随伴性の分析
  2. 行動修正の原理を利用する
  3. 望ましくない行動に対する否定的な結果や罰を使うことと自然消去の比較
  4. タイムアウト
  5. ペナルティー,罰,不承認
  6. 認知行動アプローチとソーシャル・スキル・トレーニング(SST)
  7. 認知技法,モデリング,ロールプレイを利用する
  8. まとめ

第9章 総括 - - 5つの事例

  1. ジェニー - - うつの子ども
  2. マシュー - - 学校嫌いの子ども
  3. ジョニー - - 失禁症の10歳
  4. サラ - - 自分自身が大嫌いな女の子
  5. ミッキー - - 危険な性質の少年
  6. 結論
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