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オランザピンを使いこなす

オランザピンを使いこなす
オランザピンは陽性症状や陰性症状への効果、認知機能の改善、錐体外路症状や遅発性ジスキネジア、プロラクチン血症をきたしにくいというユニークな特徴をもち、いまや統合失調症の主要な治療薬として広く使用されている。また1日1回投与、飲み心地が良いことから、コンプライアンスに問題のあるケースにも適した薬である。忍容性も高く、口腔内壊錠もあり、従来は期待できなかった有用性と利便性を臨床現場にもたらす。「臨床精神薬理」誌に連載された好評シリーズ『オランザピンを使いこなす』(全8回)をもとに、治療困難例、高用量治療の2章を新たに加えた。オランザピンの真価を知り、処方上の注意点を網羅した実践の書 !
藤井康男編
定価 3,080 円(本体2,800円 + 税) A5判 並製 192頁
ISBN978-4-7911-0627-1〔2007〕
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Contents
第1章 急性期治療の選択肢としてのolanzapine―その1
永嶋弘道,松村謙一,慶野鐵太郎,本多知子,今泉 晶,東 雅晴,千葉英明,高橋洋子,藤本英生,菅野 道 

はじめに
急性期治療
  1. 急性期の定義
  2. 自然経過からみた急性期治療の位置付け
  3. 薬物選択
心理教育
  1. 心理教育の重要性
  2. 病名告知
  3. 患者―家族マネージメント
Olanzapineによる急性期治療
  1. Olanzapineの特徴
  2. 拒薬患者への対処
  3. Olanzapineの効果的な投与方法
    1)初回投与量、投与回数
    2)急性期の補助薬
    3)抗パーキンソン病薬併用について
    4)効果判定の指標
    5)減量方法
急性期治療中に注意すべき事項
抗精神病薬の併用について
維持期を見据えて
最後に
文献

第2章 急性期治療の選択肢としてのolanzapine―その2
堤 祐一郎

序文:統合失調症急性期症状―患者と精神科医が望むこと
経過からみた統合失調症症状の位置付け
急性期治療の目標と方針
第二世代抗精神病薬(olanzapine)の登場と治療状況の変化
急性期入院患者統計と統合失調症急性期治療状況
Olanzapine治療反応性
  1. 背景
  2. 投与前病態
  3. 補助薬剤使用状況
  4. Olanzapineの効果
  5. 副作用、随伴症状、忍容性
Olanzapineが推奨される患者の背景因子
急性期におけるolanzapine投与方法
補助薬剤の併用
Olanzapineを中心とした急性期治療方法論のまとめ
急性期から回復期.安定期へ―維持治療に向けての薬剤量調節方法
Olanzapineが奏効した患者の印象
文献

第3章 Olanzapineザイディス錠を使いこなす
堤 祐一郎

良薬は口に苦し?
Olanzapineの薬理特性
Olanzapineザイディス錠の特性
統合失調症急性期の治療目標
統合失調症慢性期の治療目標
Olanzapineザイディス錠の可能性
  1. 急性期治療
  2. 慢性期治療
剤形の受容―コンプライアンス―症状改善の関係
Olanzapineザイディス錠の使用例
  1. 症例1 幻覚.妄想.精神運動興奮状態の症例
  2. 症例2 不安.抑うつ.幻聴.意欲低下.希死念慮が顕著な症例
  3. 症例3 入院時錯乱状態、退院後に大学院卒業し就職した症例
Olanzapineザイディス錠の欠点はあるか?
  1. 一包化困難  
  2. 用量設定は適切か?
最近の再燃例から教わったこと
まとめ
文献

第4章 Olanzapineと代謝系副作用
岡田 俊

はじめに
統合失調症と糖代謝
薬剤間の耐糖能障害誘発リスクの比較
新規抗精神病薬により誘発される耐糖能障害の機序
新規抗精神病薬投与中の耐糖能のモニタリング
CATIE試験からみたolanzapineの代謝系副作用
Olanzapineと耐糖能障害
文献

第5章 体重増加とチーム医療による対策
岡村武彦,井戸由美子,高谷義信,小林伸一,菊山裕貴,太田宗寛,北山幸雄,加藤政浩

はじめに
どのような患者が問題なのか?
2002年から4年間の取り組みと結果
Olanzapine服用患者での結果
患者満足度
チーム医療による対策の重要性
最後に
文献

第6章 Olanzapineへの切り替え―みんなの笑顔を見たいから
阿部佐倉

はじめに
スイッチングにおいてolanzapineを使いこなすとは?
使いこなすためのテクニック
  1. スイッチング時の問題
    1)前薬の減量の仕方,減量スピード
    2)症状の動揺.離脱症状に対する対策
  2. Olanzapineの開始用量と増量スピード―効果的な細粒剤の使い方―
  3. 効果判定および観察期間
  4. スイッチングする前薬の順序―高力価,低力価どちらから減量すべきか― 
  5. Olanzapineの効果が不十分な時の対策―スキルフルな補助薬の使用― 
  6. 医師―患者関係と医師の信念―スイッチングの目的と意義の保持および患者.家族との共有―
 
最後に―よりolanzapineの効果を引き出すために―
文献

第7章 治療困難な統合失調症に対するolanzapine単剤療法
川上宏人

はじめに
治療抵抗性とは
  1. 治療抵抗性の定義
  2. 治療抵抗性を作り出さないための注意点
    1)投与期間.量
    2)ノンコンプライアンス.副作用
    3)多剤併用
  3. 治療抵抗性を作り出さない薬物の特徴
Olanzapineの可能性
  1. Clinical Antipsychotic Trials of Intervention Effectiveness(CATIE)study
  2. Kinonらの報告
  3. 国内での切り替え試験
  4. 山梨県立北病院での使用経験
Olanzapine高用量投与の有効性
Clozapineとの比較
Olanzapineを使いこなすには
文献

第8章 治療が難渋する症例に対するolanzapineの意義―3症例の検討から
川上宏人

はじめに
症例
  1. 症例1 30代女性 妄想型統合失調症
  2. 症例2 30代男性 妄想型統合失調症(ICD―10でF20.0)
  3. 症例3 30代男性 妄想型統合失調症(ICD―10でF20.0)
考察
  1. 治療の問題点と改善策
  2. Olanzapineの可能性と限界
おわりに
文献

第9章 Olanzapine高用量治療の有効性と安全性の検討
三澤史斉,市江亮一,澤田法英,藤井康男

はじめに
対象と方法
  1. 調査方法
  2. 有効性評価
    1)治療環境と入院日数
    2)ClinicalGlobalImpressions(CGI)
    3)処方内容
  3. 安全性評価
    1)Olanzapine高用量治療中止理由
    2)臨床検査
  4. 解析方法
結果
  1. 対象例の概要
  2. 有効性評価
    1)治療環境
    2)総入院日数
    3)Clinical Global Impressions(CGI)
    4)処方内容
  3. 安全性評価
    1)Olanzapine高用量治療中止理由
    2)臨床検査
考察
文献

第10章 統合失調症以外へのolanzapineの可能性
阿部佐倉

はじめに
これまでの統合失調症以外の疾患に対する知見
1)気分障害
2)器質性精神障害
3)中毒性精神障害
4)不安障害
5)解離性障害
6)摂食障害
7)境界性人格障害
8)発達障害
自験例
  1. 気分障害
    1)急性躁病.躁状態
    2)急速交代型
    3)双極性うつ病
  2. 器質性精神障害
    1)ステロイド精神病の躁状態
    2)認知症に伴う精神症状.問題行動
  3. 摂食障害
  4. 神経症性障害.人格障害
    1)持続する強迫と重症の不安障害への効果
    2)急性の不安.パニック様症状.興奮への効果
最後に―優しく易しいolanzapine―

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