●JHC 板橋会における当事者活動 ——JHC 板橋会が培い,あたためてきたピア・サポートの成果——
宗像利幸,渋谷 正,田村文栄
JHC 板橋会では,1989年より日米の専門家,当事者が共に「ピアカウンセリング(相互支援の手法)」と「クラブハウスモデル(相互支援システム)」を学んできた。その哲学は,「当事者は自分たちが使うサービスに自ら参画する権利と責任があり,当事者が専門委員にもなり,常勤やパートの仕事を精神保健福祉システムの中で果たすことができる」と主張している。この間,1992年に日本で初めてクラブハウス「サン・マリーナ」を開設し,1998年地域生活支援センターの設置に伴い,当事者の活動の場の必要性を感じピアカウンセラーの職種を設け,「ピア電話相談」を導入した。これが先駆けとなり「ピアカウンセリング」や「当事者相互支援」はさまざまな領域で関心を呼び,その有効性が認められるとともに,当事者が従来の精神保健福祉の専門家と対等に活動に参画し,力を発揮してきている。しかし,現状ではまだまだ専門家との協働に偏見や無理解の中で葛藤している当事者は多く,今後彼らが自らの可能性にチャレンジできるに充分な活動の場と機会,それらを保障するための行政や専門家による環境づくりと支援が求められている。
キーワード:パートナーシップ,ピアアドボケイト,活動への参画の保障, We Are Not Alone,一人ぼっちにならない・させない