●外来統合失調症治療におけるrisperidone持効性注射剤の有用性の検討――QOL向上と寛解を目指した治療のために――
窪田幸久
精神科クリニックにおける外来統合失調症患者20例にrisperidone持効性注射剤への切り替えを行い、6ヵ月間の有効性・安全性の検討とともに患者の主観的QOLを評価した。結果、PANSS総スコアは88.5±11.4から63.1±13.5に、GAFは39.5±6.2から59.9±7.4に、DIEPSSは7.8±4.0から3.2±2.2に、それぞれ有意(p<0.001)な改善を示した。主観的QOL評価は心理社会関係、動機と活力、症状と副作用のいずれの領域においても改善が見られた。また近年、統合失調症治療の治療目標として提唱されている「寛解」の重症度基準においても、切り替え前1例であったのが切り替え6ヵ月後には14例が寛解に到達した。Risperidone持効性注射剤は外来維持治療の有用な治療選択肢であることが確認された。
Key words : schizophrenia, risperidone long acting injection, quality of life, remission, shared decision making