●衝動性の動物モデルと精神薬理
泉 剛 大村 優 木村 生 吉岡充弘
衝動性は,行動抑制の低下によるimpulsive actionと,衝動的な行動を選択するimpulsive choiceに分けられる。前者の測定法として,5-選択反応時間課題,stop signal reaction time taskおよび低反応率部分強化があり,後者の測定法として,報酬の時間割引や確率割引がある。動物実験の結果から,衝動性に関与する主要な脳部位は,infralimbic cortex,側坐核および眼窩前頭皮質であり,ドーパミン,ノルアドレナリン,セロトニンおよびアセチルコリン神経系が衝動性を調節していると考えられる。本稿では,衝動性の動物実験における脳破壊および薬物の影響について,現時点で得られている所見をまとめた。筆者の所属する研究室では,impulsive actionを検出する簡便かつ妥当性の高い方法として,3-選択反応時間課題を開発したので,併せて紹介する。
Key words : impulsivity, impulsive action, impulsive choice, 5-choice serial reaction time task, 3-choice serial reaction time task