■症例報告 ●Quetiapineへの切り替えにより精神症状の改善および社会生活能力の向上がみられた統合失調症の2症例――社会生活能力の評価にRehabilitation Evaluation Hall and Baker(REHAB)を用いて――
片上哲也 織田裕行 木下利彦
Bromperidolやrisperidoneなどの抗精神病薬からquetiapineへの切り替えを行った統合失調症の2症例において,陽性・陰性症状評価尺度(以下PANSS)とRehabilitation Evaluation Hall and Baker(以下REHAB)の全般的改善がみられた。今回,特にREHABの全般的行動の3項目(社会的活動性;SA,言葉のわかりやすさ;DS,セルフケア;SC)においては,両症例ともに改善がみられた。しかし,寛解状態であるが入院治療を余儀なくされている症例1では社会生活の技能(以下CS)の項目は,改善がほとんどみられなかった(16点→15点)。一方,症状が寛解し退院後,社会で生活を送っている症例2ではCSは大幅な改善を示した(10点→6点)。これらのことから,寛解状態における統合失調症患者にとって,社会にて生活を送ることが,社会能力やコミュニケーション能力の改善に重要であることが示唆された。
Key words : quetiapine, schizophrenia, PANSS, REHAB
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