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展望
●不安障害の脳内機構と治療の未来
笠井清登
 不安障害は精神疾患中最も有病率が高く,疾患による推計コストもうつ病や統合失調症を上回るとされており,その克服は国家的課題である。近年の神経画像解析を含む生物学的精神医学研究の進歩により,不安障害の発症には,遺伝的素因に加え,養育体験の質やパーソナリティを含む,複雑な遺伝・環境相互作用が関与することが明らかとなってきた。また,不安障害・うつ病に共通の脳病態は,前頭葉による辺縁系の制御不全としてまとめられつつある。今後は,不安障害の素因形成・発症・進行(難治化・重症化・再発)という臨床病期概念を導入し,時期特異的な脳病態を明らかにすることで,最適な介入法を開発していくことが,不安障害の臨床・研究の新しいパラダイムとなるであろう。
Key words :anxiety disorder, posttraumatic stress disorder (PTSD), neuroimaging, early intervention, clinical staging

特集 不安障害の生物学的基盤と薬物療法
●パニック障害の脳機能と薬物療法の位置付け
熊野宏昭
 本稿では,これまでに明らかにされた神経解剖学的知見と神経薬理学的知見をまとめ,パニック障害の薬物療法の位置付けを考察した。神経解剖学的には,扁桃体を中心とした恐怖ネットワークが状況依存性パニック発作の,中脳水道周囲灰白質が自発性パニック発作の責任部位であることを支持する多くの知見,および前頭前野の機能異常を示唆する複数の知見が得られている。神経薬理学的には,5―HT系(中脳縫線核,海馬,視床),GABA系(後頭葉)ともに特性的な異常が示されており,SSRIやベンゾジアゼピンによる持続的な治療の必要性が示唆されている。一方,認知行動療法による脳内糖代謝の変化からは,前頭前野の機能強化によるトップダウンの奏効機序が示唆された。今後は,両者の併用や他方へ移行する際の脳機能の変化についての知見も踏まえながら,現在よりも影響を及ぼす脳の範囲が広く,特性的異常にも効果を示す薬物療法の開発を進める必要があると考えられた。
Key words :amygdala, PAG (periaqueductal gray), prefrontal cortex, 5―HT (serotonin), GABA (gamma―aminobutyric acid)

●パニック障害に対する選択的セロトニン再取り込み阻害薬の効果と投与方法
石黒 慎  渡邊 崇  佐伯吉規  上田幹人  下田和孝
 パニック障害は,突発的に生じる動悸や様々な自律神経症状を伴う発作を繰り返す不安障害の一種で,tricyclic antidepressant(TCA)や,selective serotonin reuptake inhibitor(SSRI),benzodiazepine(BZ)系薬物による薬物療法が一般的に行われている。これらの薬剤の中で安全性や忍容性,依存性などを考慮した結果,最も有効と考えられるSSRIについて,その作用部位および有効な用量や投与法を検討した。また,SSRI単剤では薬物治療が奏効しない患者を対象に,augmentation therapyの可能性について述べた。
Key words :panic disorder, selective serotonin reuptake inhibitor, augmentation therapy

●全般性不安障害(GAD)の生物学的基盤と薬物療法
天野雄平  塩入俊樹
 本稿は全般性不安障害(GAD)の生物学的基盤とその薬物療法について,最近の知見を基に概説した。GADの生物学的基盤としては,従来より,ノルアドレナリンやセロトニン(5―HT),そしてγアミノ酪酸等の中枢神経系の機能異常が想定されている。加えて,最近行われ始めた脳機能画像研究によると,GADでは扁桃体をベースとした予期覚醒システムが全般的に過敏状態にあり,その正常化を前部帯状回が過剰に活性化することで処理しようとしている可能性が示唆されている。しかしながら,GADの生物学的研究はうつ病等に比しまだまだ十分とは言えないのが現状である。また,現時点でのGADの薬物療法ストラテジーとしては,SSRI,SNRIを第一選択として用い,第二選択薬としては5―HT1Aアゴニストあるいは三環系抗うつ薬等を考慮し,さらにベンゾジアゼピン系抗不安薬については必要であると判断される場合には治療初期の期間限定で補助薬として用いるということになろう。
Key words :noradrenaline, serotonin, GABA, SSRI, TCA

●強迫性障害の脳機能と薬物療法の効果
中尾智博
 強迫性障害(OCD)は,早期発症し長期的で慢性的な経過をたどる例が多く,精神療法や薬物療法への反応も悪いことから,従来難治性の疾患と捉えられてきた。しかし,この10年余の間に,SSRIを中心とした治療戦略が整い,治療法は大きく発展している。その背景に神経画像研究の進歩があり,特に機能画像研究から前頭葉―皮質下領域を中心とするOCDの病態に関与する脳部位が特定され,それをもとにした仮説が立てられている。その一方,SSRIに反応しないケースも少なからず存在し,非定型抗精神病薬の有効性にも注目が集まっている。分子イメージングからは,従来考えられていたセロトニン伝達系の異常だけでなく,ドーパミン系をはじめとする他の神経伝達物質の関与が示唆されている。近年では治療前の画像所見をもとに治療反応性を予測するような研究もなされており,臨床への応用が期待されている。今後,生物学的な知見を背景に,より有効な治療戦略が構築されていくことが期待される。
Key words :obsessive―compulsive disorder(OCD), functional brain imaging, treatment response, serotonin reuptake inhibitors(SRIs), antipsychotics

●強迫性障害に対する現在の薬物療法:その実際と効果予測
松永寿人
 現在,強迫性障害(OCD)では,認知行動療法(CBT)に加え,選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)による薬物療法が主要な治療とされる。この有効性は従来から検証され,セロトニン仮説の根拠とされてきたが,OCD患者全てに一律に有効とは言えず,約40%では十分な反応が得られない。このようなSSRI抵抗性の予測因子には,早発や保存症状の存在,チック,ないし統合失調型人格障害のcomorbidity(併存)などが挙げられる。近年SSRI抵抗性OCD患者には,適応外ではあるが非定型抗精神病薬の付加投与の有効性が確認されており,反応性や奏効する薬物療法の相違は,背景にある神経化学的病態の多様性を反映する可能性がある。実際最近OCDを,大脳基底核の機能異常による認知的行動的抑制障害とする見方もあり,ドーパミン系の関与が注目されている。なお,現行の薬物療法には限界も明らかで,薬剤がいかに不安や強迫症状を制御し動機づけを高め,CBTの導入や効果を支持しうるかも,重要になるものと考える。
Key words :obsessive―compulsive disorder, selective serotonin reuptake inhibitor, pharmacotherapy, predictor, augmentation

●社会不安障害の脳機能と薬物療法
泉 剛  朝倉 聡  吉岡充弘
 社会不安障害(SAD)は不安障害のひとつであり,選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が有効であることから,セロトニン作動性神経の障害が病態の基礎に存在すると考えられている。SADの患者は怒りや恐怖などのネガティブな表情を過大に評価する傾向があり,他人の顔や視線を注視することを避ける。fMRIを用いて表情写真に対するSAD患者の反応を調べた研究では,ネガティブな表情に対して島皮質と扁桃体の反応亢進が認められた。不安の動物モデルである恐怖条件付けを用いた研究では,SSRIは扁桃体でセロトニン神経伝達を高めることにより,不安に拮抗することが示唆されている。また,健常人に対するSSRIの投与により,恐怖表情の提示による扁桃体の活性化が抑制されることが報告されている。これらの知見から,SADに対するSSRIの効果は,扁桃体におけるセロトニン作動性神経の機能低下を是正することによると推測できる。
Key words :social anxiety disorder (SAD), face recognition, functional MRI (fMRI), amygdala, selective serotonin reuptake inhibitor (SSRI)

●これから期待される不安障害治療薬
辻 敬一郎  田島 治
 γ―アミノ酪酸(gamma―aminobutyric acid:GABA)受容体を介して作用するベンゾジアゼピン(BZ)系抗不安薬や,セロトニン(5―HT)受容体を介して作用する選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor:SSRI)および5―HT系抗不安薬などの,従来の不安障害治療薬とは全く作用機序の異なる多くの化合物が,新たな不安障害治療薬として期待され,研究,開発が行われている。近年では神経ペプチド受容体である副腎皮質刺激ホルモン放出因子(Corticotropin Releasing Factor:CRF)受容体antagonistやtachikinin受容体antagonistなどが大きな注目を集め開発されている。その他,グルタミン酸受容体やσ受容体,カンナビノイド受容体に関連して作用する化合物も,新たな不安障害治療薬としての可能性が示唆され,研究が行われている。また,従来型とは異なるGABA受容体や5―HT受容体に作用する不安障害治療薬の開発も行われている。従来のBZ系や5―HT系の不安障害治療薬の限界や弊害が指摘される中,様々な方面から全く新しいプロフィールの不安障害治療薬の開発が試みられているが,その多くは臨床試験に辿り着く前に開発が断念されているのが現状である。
Key words :anxiolytic, serotonin, γ―aminobutyric acid, neuropeptides, glutamate

特集 Atomoxetineの導入でAD/HD治療はどう変わるか?
●Atomoxetineのプロフィールと薬理作用
曽良一郎  福井麻美  池田和隆  笠原好之
 注意欠如・多動性障害(AD/HD)の病態としてカテコールアミン神経伝達の異常が推察されてきた。ドーパミン神経伝達がAD/HDの病態に重要な役割を果たすことが知られているが,ノルエピネフリン神経伝達の関与も示唆されている。中枢刺激薬であるmethylphenidate,選択的ノルエピネフリン再取り込み阻害薬であるatomoxetineはともに前頭前野皮質におけるノルエピネフリントランスポーターに作用し,ドーパミン・ノルエピネフリン神経伝達を制御することでAD/HDの治療効果をもたらすと考えられる。一方,methylphenidateの依存に関与すると考えられている側坐核でのドーパミン神経伝達の増強は,atomoxetineではみられない。中枢刺激薬はAD/HD治療薬として有効性・安全性が確認されているが,非中枢刺激薬のatomoxetineの使用はAD/HDの薬物治療の可能性を拡大すると期待される。
Key words :norepinephrine, dopamine, transporter, methylphenidate, AD/HD

●国内外におけるatomoxetineの臨床試験
高橋道宏  丹治由佳
 国内外におけるアトモキセチン塩酸塩(atomoxetine hydrochloride)の臨床試験成績を概観し,その臨床的特徴を検討した。国内第2相探索的試験では,日本人の小児注意欠陥/多動性障害(AD/HD)患者におけるatomoxetine1.8mg/kg/日までの安全性と忍容性が確認された。国内第3相プラセボ対照二重盲検比較試験では,統計学的に有意な用量反応関係が認められ(p=0.008),ADHD RS―IV(Attention―Deficit/Hyperactivity Disorder Rating Scale―IV)日本語版(医師用)総スコアのベースラインから最終観察時までの平均変化量について,プラセボとatomoxetine1.8mg/kg/日の差は統計学的に有意であった。また,ADHD RS―IVの総スコアで25%以上改善が認められた患者を反応者とした解析から,atomoxetine1.2mg,1.8mg/kg/日が臨床的に有効であると考えられた。国内長期試験は継続中であるが,中間解析結果から,長期投与における有効性および安全性に特に問題は認められなかった。海外臨床試験では,乱用の可能性が低いことや,併存障害を持つAD/HDに対する有効性評価の結果,夕方以降や早朝に至る途切れのない効果などatomoxetineの臨床的特徴が示されている。以上より,国内外の臨床試験結果から,atomoxetineのAD/HDの中核症状に対する治療効果,及び1.8mg/kg/日投与での安全性および忍容性が確認されており,atomoxetineは日本におけるAD/HD治療薬の1つとして有用であることが示された。
Key words :atomoxetine, attention―deficit/hyperactivity disorder, clinical trial, noradrenaline reuptake inhibitor

●AtomoxetineによるAD/HD治療のリスク・ベネフィット
岡田 俊
 非中枢刺激薬atomoxetineは,methylphenidateと異なる作用機序をもち,ノルアドレナリントランスポーターに結合してモノアミンの再取り込みを阻害し,前頭前野のドパミン,ノルアドレナリンの細胞外濃度を上昇させる。しかし,側坐核のドパミン系には影響を及ぼさない。このことは依存リスクを回避しながらもAD/HDの中核症状を改善することを意味している。AD/HDにはさまざまな機能障害や併存障害を伴い,患児の生活の質を低下させるほか,家族の負担,さらには親子関係も悪化させ,患児の心理的発達に悪影響をもたらす。これまでに提出されているエビデンスによれば,atomoxetineは中核症状だけでなく,実行機能を改善する,生活の質の高める,併存障害を悪化させることなくAD/HD症状を改善するなどの有効性が示されている。本稿では,atomoxetineの有効性と安全性を調べた臨床試験や研究報告を概説するとともに,現在,海外で検討が進められているいくつかの有害事象についても最新データをもとに検討を加えた。
Key words :atomoxetine, AD/HD, clinical trial, efficacy, adverse events

●AtomoxetineによるADHD治療とQuality of Life(QoL)
齊藤卓弥
 注意欠如・多動性障害(Attention deficit hyperactivity disorder:ADHD)は,小児期の精神疾患で最も高頻度で認められる疾患である。最近,中枢刺激薬に加えて,非中枢刺激薬atomoxetineがADHDの薬物治療の選択肢として加わってきた。従来日本での薬物治療は,教育現場での多動や落着きのなさに焦点が当てられ,子どもの機能やQuality of life(QoL)の改善には注目されてこなかった。Atomoxetineは中枢刺激薬と異なり,一旦効果が出現すると一日効果が持続する。このような特徴をもつatomoxetineは,ADHD治療における新しい役割とADHD治療ゴールとしてのQoLの改善に寄与することが期待される。
Key words :ADHD, quality of life, atomoxetine, non―stimulants

●ADHD治療ガイドラインにおけるatomoxetineの位置づけ
渡部京太
 アメリカやカナダのADHDのガイドラインでは,methylphenidateと選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(atomoxetine)をともに第一選択薬とし,Texasアルゴリズムでは,第一選択薬はmethylphenidate,第二選択薬はatomoxetineとしている。また,ヨーロッパのADHDへの長時間作用型薬物のガイドラインでは,第一選択薬として長時間作用型薬物が位置づけられ,さらに第一選択薬として長時間作用型methylphenidate,第二選択薬としてatomoxetineを挙げている。ただし,うつ病,不安障害,チック障害,薬物依存が併存している場合や,親が中枢刺激薬への抵抗が強い場合,24時間効果が持続する必要がある場合には,atomoxetineが第一選択薬になる。本稿ではわが国での最新のADHD治療ガイドラインである「第3版 注意欠如・多動性障害―ADHD―の診断・治療ガイドライン」におけるatomoxetineの位置づけについて概説する。長時間作用型methylphenidate(コンサータ)とatomoxetineが使用可能になるが,「第3版ガイドライン」では第一選択薬はコンサータあるいはatomoxetine,第二選択薬はこれら2剤のうち最初に使用されなかった薬物とした。コンサータとatomoxetineの選択に際しての差別化はatomoxetineの使用経験が蓄積した上で行うべきである。
Key words :ADHD, guideline, methylphenidate, atomoxetine, pharmacotherapy

症例報告
●精神科外来における統合失調症患者に対するblonanserinの使用経験
菱本明豊  福武将映  山本泰司   毛利健太朗  白岩恭一  田中 究  青山慎介  前田 潔
 Blonanserinはdopamine―serotonin antagonistと呼ばれる新規非定型抗精神病薬である。我々は精神科外来治療において,20例の統合失調症患者(再発再燃4例,従来の抗精神病薬によって効果不十分または副作用等を認めた16例)に対してblonanserinによる治療を行い,その適応,スイッチング技法,用量用法等について考察した。再発4例は全例著明改善を示し,うち3例はblonanserin単剤と睡眠導入剤で治療した。切り替え例のうち13例は単剤,前薬減量による併用または現処方への上乗せ等により,精神症状の改善または同等の効果を示し,無月経や陰性症状等の副作用が軽減した。切り替え3例はアカシジア,精神症状の悪化によりblonanserinによる治療は中断した。以上から,blonanserinは精神科外来における統合失調症治療の1つの選択肢となる薬剤であると考えられた。
Key words :blonanserin, schizophrenia, dopamine―serotonin antagonist, switching protocol

●精神運動興奮状態の統合失調症に治療初期より高用量のaripiprazole投与が有効であった1例
栗田征武  西野 敏  沼田由紀夫  佐藤忠宏  中畑則道
 顕著な精神運動興奮状態を呈し,粗暴行為がみられたため,当院精神科救急病棟に措置入院となった統合失調症急性期症例に対して,高用量のaripiprazole投与により速やかな精神症状の改善を認めた症例を経験したので報告する。入院時,入院を拒否して暴言・暴力を示し,激しく抵抗したため隔離を必要とし,aripiprazole24mg/日とlorazepam8mg/日の投与を開始した。治療10日目には隔離を必要としない状態に改善した。Lorazepamは精神運動興奮の改善とともに漸減し終了とした。一方で,断続的な不機嫌・不穏状態がみられたため,valproateを1600mg/日まで増量しながら投与した。入院から退院までaripiprazole24mg/日を継続して投与し,症状改善したため3ヵ月後に退院とした。その後は,継続して外来に通院しており,退院後1年後においても再発を起こすことなく経過している。Aripiprazoleは従来の抗精神病薬とは異なり忍容性が優れているため治療初期より十分量の投与が可能であり,急性期治療から社会適応を目指すための有用な治療手段となる可能性が示唆された。
Key words :schizophrenia, acute phase, aripiprazole, high dose

資料
●プラセボ対照試験の問題点と今後の取り組みについて――試験参加医師および患者に対するアンケート調査から――
都甲 崇  小田原俊成  野本宗孝  平安良雄
 2006年から2007年にかけて,急性期の統合失調症を対象としたわが国で初めてのプラセボ対照の治験が実施された。今回筆者らは,この治験に参加した医師と患者にアンケート調査を行い,医師106名と患者53名から回答を得たので報告する。医師に対するアンケートからは,多くの治験参加医師が治験に参加することには時間的負担が大きいと感じ,プラセボが対照薬であることによって治験参加を勧めにくいと感じていることが示された。一方患者に対するアンケートからは,多くの治験参加患者が信頼する主治医からの勧めによって治験にエントリーしており,今後の治験推進のためにも主治医の勧めが最も重要と考えていることが示された。また,治験の対照薬が実薬ではなくプラセボであることに対する患者の不安は,治験そのものや新薬に対する不安に比べて大きいものではないことが示された。わが国のドラッグ・ラグを解消するための一つの方法は国際共同治験に参加することであり,厚生労働省は同治験への参加を推進する方針を示しているが,そのためには海外で治験として広く行われているプラセボ対照試験を行うことが必要である。今後わが国でプラセボ対照の治験を推進していくためには,主治医が対象患者に対して積極的に治験を勧めていくことが必要であり,そのためには治験参加医師の負担の軽減と治験に理解を示す医師を増やしていくことが重要と考えられた。
Key words :schizophrenia, antipsychotics, placebo―control trial, questionnaire survey, ethics


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