●AtomoxetineによるADHD治療とQuality of Life(QoL)
齊藤卓弥
注意欠如・多動性障害(Attention deficit hyperactivity disorder:ADHD)は,小児期の精神疾患で最も高頻度で認められる疾患である。最近,中枢刺激薬に加えて,非中枢刺激薬atomoxetineがADHDの薬物治療の選択肢として加わってきた。従来日本での薬物治療は,教育現場での多動や落着きのなさに焦点が当てられ,子どもの機能やQuality of life(QoL)の改善には注目されてこなかった。Atomoxetineは中枢刺激薬と異なり,一旦効果が出現すると一日効果が持続する。このような特徴をもつatomoxetineは,ADHD治療における新しい役割とADHD治療ゴールとしてのQoLの改善に寄与することが期待される。
Key words :ADHD, quality of life, atomoxetine, non―stimulants