●Risperidone内用液1mg/mLの使用成績調査――Risperidone内用液の安全性と服薬アドヒアランスの確保に向けて――
伊豫雅臣 小川嘉正 橋元佐代子 宮越久孝 伏見史久 今村恭子
Risperidone内用液1mg/mLを投与した急性増悪期統合失調症患者の有効性・安全性に関する特定使用成績調査を行ったのでその概要を報告する。本剤内用液単独療法が行われた急性増悪期統合失調症患者1,205例が登録された。調査票を回収できた1,196例を対象とし,うち1,160例を安全性集計対象症例,1,000例を有効集計対象症例とした。安全性集計対象症例1,160例のうち,副作用の発現症例は185例(15.95%)で,アカシジア29例(2.50%),パーキンソニズム23例(1.98%),便秘20例(1.72%),傾眠19例(1.64%),錐体外路障害,振戦,各17例(1.47%)などが認められた。また,Agitation症状評価項目を用いて評価した有効性に関しては,前治療薬の有無にかかわらず,内用液単剤投与開始30〜90分時点で症状の改善がみられ,1ヵ月後にはさらなる症状の改善がみられた。さらには,70%以上の患者が本剤内用液の服用後にその効果を実感していた。また,多数の患者において,本剤内用液が錠剤や細粒剤と比較して「水なしで飲めて便利」「飲んだことを思い出させる印象的な形」等,本剤内用液の剤形に対しても肯定的な印象を持っていた。服用後の効果実感を得た患者群では治療継続率も高いことから,本剤内用液が有する効果・剤形は服薬アドヒアランスの向上に寄与すると考えられる。
Key words :adherence, risperidone, drug use surveillance
■総説 ●てんかん患者のQOL研究ならびにQOLへのlamotrigineの影響
久保田英幹 八木和一
てんかん患者のQOLについては,一般人口や他の慢性疾患を有する集団と比較した研究が行われており,これらの研究から,てんかん患者では健康な人に比較して身体・精神のQOLだけでなく社会的な面からもQOLが低下しており,他の慢性疾患患者との比較では精神的QOLが低いことが特徴的と考えられる。QOLに影響を与える因子には,発作コントロールの状態のほか,抗てんかん薬の副作用や抑うつ,スティグマなどの心理社会的要因などがある。しかし,医師と患者の間には治療上最も重要と考える項目,薬剤の副作用,精神症状の認識に差異が存在し,てんかん患者のQOL向上のためにはこれらの点に注意を払う必要がある。Lamotrigineは欧米で約15年の使用実績のある新規抗てんかん薬で,現在の治療に付加することにより併用薬を減量し,副作用を軽減することや,発作頻度の減少,発作重症度の軽減,精神症状の改善などが報告され,てんかん患者のQOL向上に貢献する薬剤であると考えられる。
Key words :epilepsy, quality of life, lamotrigine, psychiatric symptoms, cognitive function
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