●Aripiprazoleの初発例(3例)への使用経験――新世代抗精神病薬を「新世代」として使うために――
大下隆司
新世代抗精神病薬であるaripiprazoleは,これまでの抗精神病薬とは異なる治療アプローチを必要とする薬剤であり,従来とは違った投与方法・処方計画が必要となる場合がある。今回,aripiprazoleを,統合失調症の初発例3例に使用した経緯を報告する。3例ともに,aripiprazoleは3〜6mg/日で開始し,早い時期に6〜30mg/日の範囲で増量した。Aripiprazole投与期間中に出現した不眠,頭痛,アカシジア様症状などの副作用は,いずれも軽微であり,aripiprazoleの用量の変更やベンゾジアゼピンなどの補助薬を数週間併用することにより対応できた。Aripiprazoleの効果を確認するためには,4〜12週間程度の観察が望ましいと考えられた。いずれの症例もaripiprazoleの治療により,著しく社会生活機能が改善した。今回の症例よりaripiprazoleを使いこなす方法に関するヒントが得られたので,今後これを基にさらに使用を重ねて投与方法を確立し,統合失調症治療の第一選択薬として使用する際の指針としたい。
Key words :aripiprazole, schizophrenia first episode, etiology―self―healing model, dopamine system stabilizer, new generation antipsychotics