●花粉症への対応─薬物療法を中心に─
川内 秀之
アレルギー性鼻炎や花粉症は,宿主であるヒトにとって,個体の生命維持を脅かす疾患ではないが,頑固な鼻症状の発現は生活の質を低下させる大きな要因となるだけでなく,上気道の感染性炎症性疾患の治癒の遷延化因子となりうる。近年,原因となるアレルゲンの量的質的変化,居住環境の変化,大気汚染などにより,スギ花粉症を含めた通年性アレルギー性鼻炎の発症の低年齢化,有病率の増加が報告されている。花粉症の中で国民病とまで呼ばれるようになったスギ花粉症は,花粉の飛散量の増加に伴い,成人例を中心として国民の10%以上の有病率となっており,その対策が急務となっている。本稿では,スギ花粉症を中心として,花粉症の病態,診断,治療について最近の情報を紹介する。
Key words:pollenosis, allergic rhinitis, second generation of antihistamine, immunotherapy, quality of life
●抗精神病薬による心電図異常(QT延長を含む)
高柳 寛
抗精神病薬は,多彩な心電図異常とそれに伴う症状をきたしうる。各種の徐脈性不整脈の誘発に加えて,心室筋の再分極の延長をきたすとQTc間隔が延長し,致死率の高い心室性不整脈torsades de pointesを発現し心臓突然死に至りうる。それゆえQT延長は,抗精神病薬による急死の最大の原因とされている。QT延長症候群は,遺伝子異常による先天性QT延長症候群と,抗精神病薬を含む薬剤による二次性QT延長症候群に分類される。先天性QT延長症候群は心室筋のイオンチャンネルの異常により,その遺伝子解析が急速に進んでいる。両者とも,徐脈時にQTcが延長すると心室性期外収縮が頻発し,さらに不応期の不均一性からリエントリーによるtorsades de pointesを起こし心室細動に至り急死することがある。抗精神病薬が実際にどの程度の心臓突然死の危険性があるかは,欧米でも論争が続いている。具体的な結果と,数値を最新のデータを引用して呈示する。基礎心疾患や肝障害のある例,低カリウム血症,高齢,女性等は,QT延長から心室細動への危険因子である。
Key words:antipsychotic agent, long QT syndrome, torsades de pointes, ion channel, sudden cardiac death