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■特集 入院の診立て・判断 II
●統合失調症急性期の入院の塩梅
小林 聡幸
 統合失調症急性期の入院適応は,診断が「よくわからない」,患者に「馴染みがない」,病状からして「待てない」という状況での判断を迫られる。近年,入院は必要悪という認識が強まっているが,急性期の,初対面の,これから本格的に治療に取り組んでいこうという患者に対して,入院の積極的な意義を持って応えたい。入院の決定は「やむを得ず」という入院適応に配慮しながら,積極的な入院適応の有無を主軸に塩梅することになる。この塩梅は平板なガイドラインでは到底表現し尽くせない。患者の病状の逼迫度,家族の意志・態度やその認容度,病棟側の事情など,様々な要素を勘案しつつ,総合的に,実のところは直感的に決定されるものであろう。
Key words:schizophrenia, acute phase, patient admission, decision making

●入院の診立て・判断─統合失調症慢性期の場合─
岩脇 淳
 統合失調症は発病当初の急性期だけでなく,長い経過の慢性期でも入院を必要とすることがある。慢性期では,可能な限り入院を短くして地域で治療するという公式の治療原則を守ることができない場合もある。急性期の入院は患者の状態が主な判断材料となるが,慢性期では地域と病院が提供できる治療資源・生活資源のバランスが重要な決定要因である。また,患者・家族・医師の三者関係のあり方も大きく影響する。慢性期に入院を考慮しなければならない具体的な状況としては,(1)自殺の防止,(2)治療の建て直しが必要な場合,(3)再燃に関連した入院がある。自殺の防止には早期の入院決断と適切な環境整備が必要である。治療の建て直しのための入院判断には,地域と病院の実際の資源に対する理解が特に必要となる。また慢性期では,再燃に対して急性期よりも早い時期の入院決定が可能であり,また逆に遅い時期の入院も考慮するべきである。すべてを通じて,患者が置かれている実際の状況への十分な理解が適切な判断の前提となる。
Key words:schizophrenia, inpatient treatment, chronic stage, relapse, suicide

●入院の診立て・判断─妄想性障害─
古茶 大樹
 操作的診断による妄想性障害は,中高年のパラノイア,遅発パラフレニー,思春期妄想症など様々な病態を含む。まずはそれが何なのかを明らかにしなければならない。妄想性障害の場合,患者が治療を希望するとは限らない。措置入院のための診察場面など,家族からの情報も得ることができない状況で,入院の診立てをしなければならないことがある。入院させるべきかどうかは,妄想の行動化の問題である。行動化がどのような結果をもたらすのか。それを防ぐ要因はあるのかどうか。患者は,入院を避けるために精神的健康を偽装する(匿病する)ことが多い。匿病を見破るためには問診に工夫が必要で,できるだけ多くを語らせることが基本である。ときに情緒の不安定さを誘うのも一つの方策である。妄想者を前にした時,われわれの側に生ずる戸惑いや無力感についても言及した。
Key words:delusional disorder, paranoia, late paraphrenia, dissimulation

●入院の診立て・判断─うつ病急性期の場合─
鈴木 二郎
 うつ病急性期の入院の適応について述べた。うつ病概念は,多様であるが,ここではICD─10のうつ病エピソードと適応障害のうつ状態とした。急性期概念について改めて規定した。また自家726名中2症例を提示した。入院を必要とする理由として,特に強い希死念慮,自殺企図をはじめ,強い不安焦燥感,昏迷,Cotard症候群,服薬コンプライアンスなどの不良,睡眠覚醒リズム不良,身体合併症,独居自立困難,主婦の治療困難,家族関係不良,出勤,登校の状況などをあげた。入院治療のポイントとしてゆっくりと静養,適切な見守り,必要に応じた電気けいれん療法(ECT),clomipramine点滴注射,精神療法,認知行動療法などを行うことを述べた。また患者との面接には受容的で,注意深い態度が必要であること,家族などとの接触も必要なことも述べた。さらにうつ病患者をゆっくり静養させられる病院が望まれることを述べた。
Key words:depression, acute phase, hospitalization, suicide, psychotherapeutic attitude

●入院の診立て・判断─うつ病慢性期の場合─
鈴木枝里子  坂元 薫
 うつ病慢性期には様々な慢性化の要因や病態,併存疾患が存在していることを認識し,薬物療法,精神療法,家族療法や環境調整,ECTなどの治療的アプローチを総動員する必要性があり,そうした多面的な治療を実現しうる場としての入院加療の重要性は高い。また生活史や現病歴,環境要因などの詳細な再検討,診断や併存疾患の再検討,手詰まりとなっている薬物療法の再検討という意味での入院加療の意義も見逃せない。さらに,ストレッサーとなる環境要因から離れることが必要な症例,家族間関係の調整が必要であったり,また看病に疲弊した家族の休養と精神的ケアが必要な症例,服薬アドヒアランスが不良で適切な心理教育が必要な症例など,一例一例の臨床特徴や問題を把握したうえできめ細やかな配慮に基づいた入院検討が必要である。うつ病慢性期の入院適応決定に関する明確なエビデンスやガイドラインはなく,治療者の裁量に任されがちであるが,入院目的を治療者自らが明確に把握し,それを適切な形で患者や家族に伝え,入院期間をあらかじめ設定し,不必要な入院期間の延長を避けることも考慮すべきである。
Key words:inpatient treatment, chronic major depressive episode, treatment─resistant depression, electroconvulsive therapy, family therapy

●入院の診立て・判断─躁病の場合─
寺尾 岳
 躁病患者の入院に関して,関連文献を紹介・検討した後に,躁病患者の入院判断基準(案)を呈示した。患者側要因としては,1)躁病が中等症から重症であり,特に興奮や攻撃的行動が目立つ,2)病識がない,もしくはアドヒアランスが悪い,3)規則的に服薬しても薬物に対する反応性が悪い,もしくはラピッドサイクラー化している(難治性躁病),である。家族側要因としては,1)家族がいない(患者が単身ということで,患者側要因でもある),2)家族がいても機能していない(患者をケアできない),3)家族が患者をケアしようとしても,患者のエネルギー(若さや男性であるなど)を勘案すると,まもなく破綻するのが容易に予測できる,である。これらを参考にしながらも,実際には,ケースバイケースで入院の判断は行われるべきであろう。
Key words:mania, bipolar disorder, admission, adherence

●入院の診立て・判断─パニック障害の場合─
貝谷 久宣  吉田 栄治  土田 英人  梅景 正
 広場恐怖の有無を問わずパニック障害が主病変で入院を必要とする症例はほとんどない。入院を必要とするのはパニック障害の併発症によることが大部分である。本稿では社交不安障害と非定型うつ病を併発した症例と,アルコール依存を併発した症例を記載した。入院を必要とするその他の併発症として双極性障害,統合失調症,境界性人格障害などがある。森田療法や米国で活発になっているマインドフルネスによりパニック障害を本格的に治療する場合には入院治療が望ましいと考えられる。
Key words:panic disorder, hospitalization, comorbidity, anxious─depressive fit, stress─calming treatment

●入院の診立て・判断─不安性障害慢性期の場合─
越野 好文
 不安障害患者の総合病院精神科への入院は少ないが,その中では強迫性障害(OCD)とパニック障害の患者の入院が比較的多かった。精神科へ入院することの意義は,cureを目指して疾患に特異的な治療や検査を行うことよりも,重症の病気に苦しむ患者ならびに家族の心身の休養および保護を中心としたcareであると考えられた。保護の内容は自殺防止と生活に支障の多い環境からの保護である。不安障害患者の主な入院理由は,診断の確定,通院困難,家庭生活困難,治療効率の向上,共存疾患の存在であった。
Key words:anxiety disorder, obsessive─compulsive disorder, inpatient care, panic disorder

●解離・転換性障害の入院
兼本 浩祐
 解離性障害,心因性発作,転換性障害を入院との関わりを中心として症例提示を行いつつ論じた。解離性障害については,比較的解離による意識障害が浅く,解離のエピソードの回数が多い頻度の高い病態を中心として議論を行った。
Key words:dissociation, conversion, psychogenic seizure

●入院の診立て・判断─強迫性障害の場合─
川上 正憲  中村 敬
 現在,米国ではDSM─Xに向けての改訂作業が行われており,強迫性障害(obsessive─compulsive disorder:OCD)を含む大診断カテゴリーに加え,その分類システムの再考がなされている。また,OCDについては症候学的,精神病理学的特徴および成因や病態生理,さらには有効な治療法やその反応性など多角的視点から,その多様性が支持され,OCDを現行の単一的,均質的診断カテゴリーとして捉えることの限界が明白となりつつある。よって本稿を論ずるにあたっては,最初にどのようなOCDを中核として論ずるかを明確にした。次に森田療法の「生の欲望」概念を概説し,OCD治療における「生の欲望」概念の有用性を論じた。最後に,精神科医として入院を判断する際のメルクマールである精神保健福祉法に則って「任意入院」および「任意入院以外」の形で「入院の診立て,判断」を考察した。任意入院における良好な治療成績をあげる上で必要な「診立て,判断」の一要件として(1)治療に対する高いmotivation(生の欲望の強さ)(2)「OCDに対する心理教育」の徹底が考察された。また,任意入院以外では「危機的状況の回避」が入院における「診立て,判断」の一要件であることをそれぞれ論じた。
Key words:obsessive─compulsive disorder, Morita therapy, desire to live fully, motivation, psychoeducation

●入院の診立て・判断─神経性食思不振症・制限型の場合─
切池 信夫
 摂食障害の治療において,外来通院治療が大きなウエイトを占める。しかし入院治療が必要な場合もしばしば生じる。そこで摂食障害患者の診療の流れ,摂食障害の治療,神経性食思不振症の診断,治療,入院治療の適応(緊急入院治療,緊急を要さない場合),入院治療に拒否的で慢性の治療抵抗性の難治性患者に対する治療について説明する。
Key words:anorexia nervosa, restricting subtype, inpatient treatment

●入院の診立て・判断─摂食障害・排出型の場合─
浜垣 誠司
 摂食障害の中で排出行動を伴う病態としては,AN─BP,BN─P,EDNOS─P等がある。本稿では,まずDSM─Wにおける摂食障害の下位分類を確認した後,最近の日米の一般的な治療ガイドラインにおいて,前述の病態の入院治療がどのように位置づけられているかということを概観した。これらの摂食障害において入院が考慮される場合,その目的は,(1)身体状態の改善,(2)自殺企図など危険な行動化の制御,(3)過食や排出行動など食行動の改善,という3点に整理することができる。その各々について検討するとともに,とりわけ入院の際の治療環境や治療関係の変化に関して,配慮すべき点について述べた。最後に,筆者が外来診療所という場において,入院を判断する上で大まかな目安としている事柄を紹介した。
Key words:eating disorder, purging type, bulimia, inpatient treatment, therapeutic relationship

●入院の診立て・判断─境界性人格障害の場合─
柴山 雅俊
 境界性人格障害を「ボーダーライン心性」と「解離心性」といった2つの心性によって構成されているものとして考え,境界性人格障害の入院治療にあたっては,これら2つの心性がおのおのどの程度特徴的にみられるかについて把握しておくことが有用であると論じた。激しい攻撃性がみられ,治療者との協調が難しい「ボーダーライン心性」の目立つケースでは,限界設定が自分を強制的に縛る「拘束する衣」や「迫害する環境」に感じがちであるため,その点について治療者は共感的に言語化し,毅然とした態度で治療の目的と行動制限の意味を繰り返し説き,薬物治療も併用しながら,情動興奮や攻撃性が鎮まるまで待つ。それに対して「解離心性」が高い境界性人格障害は強度の不安があるが,治療の枠を比較的受け入れ,入院することによって安定することが多い。患者は入院の限界設定によって保護されているという安心感を得ることができ,入院治療は「抱える環境」として機能できる。実際の入院治療においては,患者の心性の評価とともに,それに見合った治療態度が必要である。いずれにしても境界性人格障害の入院治療では,倫理・社会・共同体を治療関係の中に適度に取り入れ,ほどよく明確で,無理のない体制作りが重要である。境界性人格障害の治療が従来の個人療法や精神分析的アプローチから,社会療法や弁証法的行動療法へと移行していった背景には,集団・共同体・社会などの三者関係が二者関係の背後にあってそれを支えているという認識が関係しているであろう。
Key words:borderline personality disorder, dissociative disorder, hospital treatment, limit─settings

●入院の診立て・判断─アスペルガー障害の場合─
阿部 隆明
 アスペルガー障害で臨床的な関与が必要になるのは,精神障害を併発した場合と,その基本にある認知・行動パターンに基づいた生活上の問題が生じた場合である。前者の例として,抑うつ性障害,精神病性障害,身体表現性障害,後者の例として,ひきこもり,対人接触の困難,家庭内暴力を取り上げ,入院の適否について論じた。入院治療の絶対適応となるのは,自傷や他害の恐れが強く家庭での管理が困難になったケースである。抑うつや身体症状を訴えて学校や職場での不適応状態が遷延しても相対的に入院適応となり,病棟生活を契機にした社会生活への復帰や環境調整が図られる。ただし,コミュニケーションの問題を抱えたアスペルガー障害症例は,神経症圏の患者たちとトラブルになることも多いため,病棟では特別な対人的配慮が必要となる。
Key words:Asperger’s disorder, depression, delusion, somatoform disorder, withdrawal

●認知症で入院となるケース
鬼頭  恆  村田 志保  天野 直二
 認知症患者は,多くが介護認定を受け在宅療養を続けているが,しばしば,精神症状,行動障害のために在宅療養の継続が困難な状況となる。在宅介護の限界を決定する主因は,認知症の主症状とされる認知機能障害ではなく,辺縁症状と呼ばれている様々な問題行動BPSD(behavioral and psychological symptoms of dementia)や,認知症に伴う身体合併症である。BPSDは,在宅介護を破綻させる大きな一因であり,薬物・非薬物療法いずれにおいても医学的介入が必要となる。また,認知症患者では食事量の低下や便秘といった日常的な変化が,重篤な病態に発展しやすいため,早期の対応が求められる。こうした認知症患者の介護は,家族の負担が大きい。認知症患者を支える家族の状況を評価し,家族のケアのため社会的な短期入院を勧めることは,精神医療には必要なことである。
Key words:dementia, admission, BPSD

●アルコール依存における入院
西村伊三男  福居 顯二
 アルコール依存は,飲酒への渇望を中心とした精神依存,離脱症状を伴う身体依存,および酒量の増加にみられる耐性を特徴とする。アルコール依存症の患者は,多岐にわたる身体合併症を引き起こすために,一般診療科を受診して身体疾患の治療のみを受けて再発を繰り返す例も多い。そのため,アルコール依存を早期に診断して,断酒のための治療につなげることが重要である。まず,スクリーニングテストを用いてアルコール依存を早期に発見し,動機づけ面接などから構成されるブリーフインターベンションを実施しながら断酒の意志を強固なものにする。外来治療での断酒や離脱予防が困難な場合は,入院治療により断酒させてアルコール依存症社会復帰プログラムを導入する。退院後も,外来通院と断酒会などの相互扶助組織への参加を促すことにより,アルコール依存症患者の断酒の意志を失わせることのないように長期的に援助していくことが不可欠である。
Key words:alcohol dependence, CAGE, KAST, brief intervention, motivational interviewing

■研究報告
●4つのジュースからどれを選ぶ?─アスペルガー症候群の学齢児に集団で「合意する」ことを教えるプログラム開発─
日戸 由刈  萬木はるか  武部 正明  片山 知哉  本田 秀夫
 アスペルガー症候群(AS)の学齢児に集団で「合意する」ことを教えるためのプログラムを開発した。研究1では話し合い場面での様子を報告し,AS特有の精神病理が話し合いの困難に及ぼすメカニズムを考察した。研究2では,ASの学齢児に「合意する」ことを教えるために指導者が配慮すべき4つのポイントを考案した:1)題材は全員に共通して関心の高い具体物,2)手順やルールは視覚的に呈示,3)話し合いのプロセスは図式化,4)対立・葛藤状況における対処方法はロール・モデルで呈示。これらのポイントに着目したプログラムを新たに開発し,『4つのジュース』と名付けた。小学校高学年のAS学齢児に本プログラムを実施した結果,こども同士の話し合いを通じて合意に達することができた。成功体験を通じてAS学齢児に話し合うことへの意欲や互いの合意を尊重する態度を形成させることは,限定された場面で学んだ「合意する」スキルを地域社会の中で自発的に運用させるための内発的な動機づけにつながる。
Key words:Asperger’s syndrome, social skills training, group program, agreement

●境界性パーソナリティ障害に対する精神療法とコミュニケーション上の逸脱の改善
小羽 俊士  三嶋 明子  堀江 姿帆  上村 綾
 境界性パーソナリティ障害(以下BPD)では主観的な体験の認知やコミュニケーションの仕方が漠然としたものになる傾向が示されている。本研究ではBPD患者に見られるこうしたコミュニケーション上の逸脱傾向が長期的な精神力動的精神療法によって改善するかどうかを調べることを目的とした。BPDの診断で精神力動的精神療法を受け,かつ治療導入前(Time 1)と治療開始約2年後(Time 2)にロールシャッハテストを行うことができた7名の患者を対象に,テスト中に検査者と患者に交わされる会話の逐語的な記録からコミュニケーションの漠然性を評価した。その結果,すべての対象患者においてTime 1に比較しTime 2ではコミュニケーションの漠然性が軽減しており,この傾向は対応のあるt検定において有意(p=0.003)であることを認めた。
Key words:borderline personality disorder, communication deviance, psychodynamic psychotherapy

■臨床経験
●身体拘束中に肺血栓塞栓症を発症し,Dダイマー測定により早期に診断がついた統合失調症の一例
阿部 正人  水俣 健一  高橋  淳  藤原 敏弥
 われわれは,症状の少ない肺血栓塞栓症をDダイマーによって早期に診断できた統合失調症の症例を経験した。症例は58歳,男性で,安静が保てず転倒の危険性が高いことから当科にて身体拘束中であった。腸炎発症後に,軽度低酸素血症,頻脈,軽度意識障害の状態を呈した。一般採血検査で炎症所見を認めた以外,胸部レントゲン写真,心電図などでは特に所見を認めなかった。Dダイマーが9.40μg/mlと高値を示したことから肺血栓塞栓症を強く疑い,胸部造影CTによる精査の結果,肺血栓塞栓症と診断され再発予防策をとることができた。肺血栓塞栓症を早期に発見するためには,臨床症状の観察に加え,定期的に経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)を測定することが重要と思われた。軽度でも低酸素血症が確認された場合は肺血栓塞栓症を鑑別診断に挙げ,Dダイマー測定を行い,その結果,血栓形成が否定できない時は,下肢エコー,造影CT等を施行することが望ましいと思われた。
Key words:pulmonary thromboembolism, D─dimer, SpO2(oxigen saturation by pulse oximetry), hypoxia, physical restraint

●自殺企図したうつ病患者がolanzapineを服用した2日後に改善した一例
善本 正樹  穂積 慧
 うつ病の治療は薬物治療が中心であるが,抗うつ薬単剤に反応を示さない症例を経験することも多い。また,再発・再燃を繰り返す場合の薬物治療では,薬剤選択に苦慮することがある。Olanzapineは抗うつ薬の増強効果があることが知られ,その特徴として追加投与数日後に速やかな改善効果を示すことが報告されている。今回,paroxetineおよび sertralineを使用したが,再発・再燃を起こして,自殺企図したうつ病患者にolanzapineを追加使用したところ,その2日後に希死念慮の消失およびうつ状態の改善がみられた一例を経験したので報告する。
Key words:depression, olanzapine, suicide attempted, augmentation therapy, sertraline


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