精神科救急の現場は,迅速かつ的確な治療対応が求められるため,ガイドラインがもっとも要請される領域であると考えられる。本増刊号の特色は、従来の成書がいきなり「状態像ごとの治療的対応」から記載が始まるものが多いことを踏まえ、救急においてもっとも重要なものでありながら記載が少なかった「状態像の診分け」に1章を割き(第1章)、受診動機を出発点にどのような鑑別診断が
行われていくかを、症例記載も入れて詳述する点にある。日本の精神科救急の第一線で活躍する執筆陣を揃え、現時点における精神科救急のガイドラインとして最良・最高の内容を誇る。
編集:「精神科治療学」編集委員会 B5判 並製 208頁 通巻199号
| 発刊にあたり | 中安信夫 | |
| 第1章 状態像の診分け | ||
| 1.訳のわからないことを言って、暴れている | 八田耕太郎 | |
| 2.騒いで、しゃべりまくっている | 大塚公一郎 加藤敏 | |
| 3.怒りっぽく、攻撃的である | 兼本浩祐 吉田典代 新井啓之 | |
| 4.居ても立ってもおられない | 下村昇 市田勝 | |
| 5.ぼおっとして、戸惑っている | 細川清 小林建太郎 李陽明 | |
| 6.動かず、何も言わない | 日野原圭 加藤敏 | |
| 7.「死ぬのではないか」と不安におののいている、息をハアハアしている | 松丸憲太郎 上島国利 | |
| 8.けいれんしている | 兼本浩祐 大島智弘 深谷修平 | |
| 9.記憶がない | 兼本浩祐 三宅芳子 渡辺雅子 | |
| 10.手首・前腕を切った | 福島春子 中井祥博 岩尾俊一郎 山口直彦 | |
| 11.大量の薬を飲んだ | 神尾聡 | |
| 12.(抗精神病薬を服用中の患者が)体が突っ張っている,眼が吊り上がっている | 山口直彦 中元幸治 | |
| 13.(向精神薬を服用中の患者が)グッタリとして、顔面蒼白であるが高熱を発している | 西嶋康一 | |
| 第2章.精神科救急に必要な検査と処置 | ||
| 1.検査 | ||
| 1)種類と手技 | 神尾聡 | |
| 2)検査値の読み方 | 八田耕太郎 | |
| 2.処置 | ||
| 1)鎮静法 | 八田耕太郎 | |
| 2)身体拘束 | 神尾聡 | |
| 3)電気けいれん療法(electroconvulsive therapy:ECT) | 中村満 一瀬邦弘 島陽一 奥村正紀 関口佳穂子 道行隆 今村達弥 清水研 山田建志 竹林宏 益富一郎 清水恵子 |
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| 第3章. 状態像ごとの治療的対応 | ||
| 1.緊張病性興奮 | 八田耕太郎 | |
| 2.幻覚妄想状態 | 八田耕太郎 | |
| 3.意識変容状態(せん妄や夢幻-錯乱状態) | 八田耕太郎 | |
| 4.躁状態 | 大塚公一郎 加藤敏 | |
| 5.てんかん性不機嫌症 | 兼本浩祐 森真琴 大島智弘 | |
| 6.不安焦躁状態 | 下村昇 市田勝 | |
| 7.困惑状態,アメンチア,もうろう状態,発作性昏迷 ictal stupor(spike-wave stupor) | 細川清 小林建太郎 李陽明 | |
| 8.昏迷状態 | 日野原圭 加藤敏 | |
| 9.パニック発作・過換気症候群 | 松丸憲太郎 上島国利 | |
| 10.けいれんおよびけいれん発作重積状態 | 兼本浩祐 大島智弘 | |
| 11.一過性全健忘 | 三宅芳子 兼本浩祐 | |
| 12.全生活史健忘 | 兼本浩祐 多羅尾陽子 | |
| 13.リストカット | 福島春子 中井祥博 岩尾俊一郎 山口直彦 | |
| 14.大量服薬 | 神尾聡 | |
| 15.アカシジア | 下村昇 市田勝 | |
| 16.急性ジストニア,眼球上転発作 | 山口直彦 青木信生 | |
| 17.悪性症候群 | 西嶋康一 | |
| 第4章.精神科救急に必要な法的あるいは実務上の知識 | ||
| 1.受診希望あるいは相談の電話に対する対応 | ||
| 1)トリアージュ機能とカウンセリング機能 | 平田豊明 | |
| 2)大量服薬の場合 | 上條吉人 | |
| 2.精神科救急の実務に関わる法の運用 | 平田豊明 | |
| 3.患者・家族に説明すべきこと―精神科救急とインフォームドコンセント― | 白石弘巳 | |
| 4.精神科救急と刑事司法の接点―その司法精神医学的課題と対策― | 武井満 |