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星和書店
今月の新刊 next

ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)をはじめる

ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)をはじめる

セルフヘルプのためのワークブック

スティーブン・C・ヘイズ、スペンサー・スミス 著
武藤崇、原井宏明、吉岡昌子、岡嶋美代 訳
B5判 並製 344頁  ISBN978-4-7911-0755-1〔2010〕
定価 2,520円(本体2,400円)

アクセプタンス&コミットメント・セラピーは、最新の科学的な心理療法です。新次元の認知行動療法とも言われ、急速に世界中で広まっています。今までの心理療法が、人間の苦悩を変化させようとしたり、除去しようとして、どれだけ成功したでしょうか。ACTにおいては、私たちはなぜ悩むのか、精神的に健康であるということは何なのか、ということに新たな見方を提供します。苦悩は、避けられないもので誰にでもあるものです。苦悩を避けようとかコントロールしようとすることが、さらなる苦悩の原因となり、問題を長びかせ、生活の質を破壊します。ACTは、苦悩のように個人のコントロール出来ないものをアクセプト(受け容れ)し、自分の求める生き方を自覚し、生活を豊かにする方法を提供します。

羽のない天使たちへ

羽のない天使たちへ

摂食障害の病理と治療

窪田三樹男 窪田庸子 著
四六判 上製 296頁  ISBN978-4-7911-0754-4〔2010〕
定価 3,780円(本体3,600円)

摂食障害を「パーソナリティ障害を基盤にして生じる心理身体的な疾患」ととらえ、患者や家族の人格構造、患者と家族・同世代者とのそれぞれの関係から、発症の仕組みや症状の意味、治療法を細やかに深く追求した本書。臨床医としての長い経験と、「羽のない天使たち」である摂食障害の患者たちへの深い愛情に裏打ちされた本書には、摂食障害のよりよい治療法への模索を願う著者の思いがつまっている。

  雑誌の最新号 next
精神科治療学
定価 3,024
月刊 精神科治療学 第25巻12号

特集: 症候からみる自閉症スペクトラム

近年,成人になってから一般の精神科を訪れる自閉症スペクトラムを持つ患者の診療ニーズが増大している。その多彩な症候から他の精神障害との鑑別や併存について悩まされることがしばしばある。本特集では,自閉症スペクトラムに特有な症候とは何か,心理学的あるいは生物学的にどのような基盤が考えられるのか,発達とともに症候はどのように推移していくのか,他の精神障害でみられる症候との異同など,さまざまな視点から自閉症スペクトラムの症候を取り上げた。多くの精神科医が自閉症スペクトラムの理解を深め,臨床に活かすために役立つ特集。

臨床精神薬理
定価 3,045
月刊 臨床精神薬理 第14巻1号

特集:抗精神病薬強制投与と医療倫理

患者が望まない医療を強制的に行うことがどこまで許容されるのかは、精神医療では永遠の課題である。本特集では、強制的な抗精神病薬治療に焦点を当て、世界的な状況とわが国での実状、課題、法的問題などについて検討した。

こころのりんしょう à·la·carte
定価 1,680
季刊 こころのりんしょう à·la·carte 第29巻4号

特集:うつ病からの回復とリハビリテーション

社会全体に大きな影響を与えているうつ病を前に、薬物療法のみで対処しきれないことは周知されつつあり、回復には、より多彩で包括的な支援・リハビリが求められてきています。本特集では、その先進的な試みや、就労、家族心理教育、自助グループの活動など、幅広い支援の可能性を示します。また、すぐに役立つ情報が満載のQ&A(51問)、現場の生の声が聞ける大手企業人事部の座談会ほか、充実の特集号。

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臨床心理士 あや先生のコラム 
Vol.2 山元加津子さん 講演会に行って来ました

特別支援学校の先生で神様みたいな人がいるらしい、そんな話を時々ネットなどで目にして気になっていました。私が行ったのはトータルヘルスデザイン主催の講演会で、山元加津子さん、通称かっこちゃんのお話の前に、まず「宇宙(そら)の約束」という映画が上映されました。

かっこちゃんが、学校のお友達(生徒さんのことをこう呼んでいます)と関わっている様子や、「昔から何で?何で?と不思議なことはとことん考えちゃうタイプで、今ね、こんなことを考えたの」と大竹しのぶさんのようなほんわかした口調で深い内容を語る姿、脳出血で倒れた元同僚に寄り添い、そこで起きた奇跡・・・感動的な映像ばかりで、観ている間中涙がポロポロポロポロこぼれました。ぜひ多くの方に観てもらいたい映画でした。

講演会では、生きている意味や私たちみんなの役割について興味深いお話をうかがいました。その中の2つをご紹介したいと思います。まず、かっこちゃんの映画「四分の一の奇跡」の元になったお話です。

昔アフリカでマラリアが蔓延し多くの人々が亡くなった時に、不思議とマラリアに罹らずに助かった人がいたそうです。その理由を調べたところ、赤血球の形がハンバーグを凹ませたような普通の形ではなく、鎌状だったことがわかりました。鎌状赤血球の人と普通の赤血球の人の間に子どもが4人生まれたとすると、1人は普通の赤血球、1人は鎌状赤血球、あとの2人は普通のと鎌状のと両方の赤血球を持って生まれてくるそうです。そして亡くなったのは普通の赤血球を持った人々で、助かったのは鎌状赤血球を持った人々だったそうです。鎌状赤血球だけを持つ人には障害が出てしまうそうですが、その人々がいてくれたからこそ、マラリアによって村が全滅しないで済んだということです。そのように、病気や障害を持って生きた方がいたからこそ、今の私たちが存在する…。

もし私が障害を持っていたら、大きな意味があると言われても、ではなぜ自分がそんな大変な役目を持って生まれてきたのだろう?もっと普通がよかった、と思ってしまうかもしれません。

そのようなみんなそれぞれの役割について、次にこんな話を聴きました。イエスキリストの最後の晩餐の場面でのやりとりを聴いて、かっこちゃんはこんな風に思ったというお話です。

「最後の晩餐の場面で、イエス様がユダに『あなたがなすべきことをしなさい』と言ったと聞いて、それじゃ裏切りなさいって言ってるようなもんじゃない?と 不思議だった。でもイエス様は十字架にかけられてあのように亡くなったからこそ、人々の心にずっと残って、人々を救ってくださってるんだと思ったの。そのためにはユダの裏切り行為が必要だった。それで、もしこのことを劇にするって学校のお友達に言ったら、イエス様の役をやりたいって言ってくれる子はたくさんいると思うの。でもユダの役やってくれないかなって言ったら、きっとみんな、えーやだよーって言うと思うの。そんな時私はどうするかな?って思ったら、 きっとこの子ならやってくれるって思う子に『この役はとっても大事な役でね、この役がいないと劇ができないの、引き受けてくれるかな?』ってお願いすると思うの。そしたらきっとその子は、しょうがないなーって言いながら引き受けてくれると思うのね。」

つまり、ユダの役も全体の流れの中では必要不可欠で、そしてその役を引き受けて生まれてきてくれた人は神様に「この人なら」と見込まれた人なのでは・・・ というお話でした。 自分はどんな役割を持って生まれてきたのでしょう?一見この世の損得で考えるとマイナスに思えることも、もしかして自分の大切なお役目かもしれません。その大切な役目を果たすためには、今のこの自分でなくてはならなかったのかもしれません。そう思うとコンプレックスに思っていること、なんであんな目に遭わなきゃならなかったんだろうと思う過去の出来事、全てのことが必要なことに思えてきます。

たとえば1つ私自身について思うと、子どもの頃からずっとトロイとか鈍いと言われ、からかわれることが多く、ぼーっとしているので仲間はずれにされたり、 先生からは普通にしているだけで怠けてると思われたり、結構傷つくことの多い子ども時代を過ごしました。大人になった今は多少マシになりましたが、自分では普通と思って話しているのに相当ゆっくりペースなのは変わりません。でもそのゆっくりペースが心理士という仕事には役立っていて、じっくり聞いてくれるという印象を持ってもらえたり、なんだか和むと言ってもらえたりもします。一見頼りなく見えたり、説得力がなかったりするので、もっとテキパキ動いたり話せたりする人に憧れる気持ちがありましたが、このかっこちゃんのお話を聞いて、これも私の大切な個性、お役目のために必要なこと、という思いが強くなりま した。

みんなそれぞれ得意なこと、苦手なこと、してあげられること、頼らなきゃできないこと、役割分担されているからこそ、みんなが大切な必要な存在なんですね。どうしてもこの世の価値基準から考えてしまってまだよくわからないこともありますが、このお話は心に留めておきたいと思いました。

(尾方 文)
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