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星和書店
今月の新刊 next

自閉症

自閉症

幼児期精神病から発達障害へ

高木隆郎 編
B5判 上製 288頁 ISBN978-4-7911-0723-0〔2009〕
定価 6,825円 円(本体6,500円)

最新の自閉症学全体をまとめて展望できる本書は、世界初の試みと言える。自閉症研究で日本をリードする執筆陣により、現時点での自閉症研究の到達点とその限界を整理検討し、総括する。


支持的精神療法入門

支持的精神療法入門

患者さんのこころと身体の治療に真摯に取り組むすべての医療者に

アーノルド・ウィンストン、リチャード・N・ローゼンタール、ヘンリー・ピンスカー 著
山藤奈穂子、佐々木千恵 訳
A5判 並製 240頁 ISBN978-4-7911-0720-9〔2009〕
定価 2,940 円(本体2,800円)

「患者さんを支持する」というシンプルで温かな営みは、すべての対人援助の基盤である。相手をどのようにサポートするかを治療テクニックの中心においた精神療法が支持的精神療法である。

自閉症スペクトラムと問題行動

自閉症スペクトラムと問題行動

視覚的支援による解決

リンダ・A・ホジダン 著
門 眞一郎、長倉いのり 訳
B5判 並製 288頁 ISBN978-4-7911-0721-6〔2009〕
定価 3,990円(本体3,800円)

視覚的な理解力が大きいアスペルガー症候群や自閉症の子どもたちの問題行動を、視覚的方法を用いてコミュニケーションスキルを高めることにより解決する。そのための方法を具体的に解説する。

DIEPSS

DIEPSS(英語版)

A second-generation rating scale for antipsychotic-induced extrapyramidal symptoms : Drug-induced Extrapyramidal Symptoms Scale

稲田俊也 著
B5判 並製 80頁 ISBN978-4-7911-0722-3〔2009〕
定価 3,990 円(本体3,800円)

薬原性錐体外路症状評価尺度の評価と診断―DIEPSSの解説と利用の手引き―』の増補改訂英語版。評価者用マニュアルと全項目評価用紙は、Japanese/Chinese/Taiwanese/Korean/Englishの各バージョン付き。

  雑誌の最新号 next

精神科治療学
定価 3,024
月刊 精神科治療学 第24巻9号

特集: 触法精神障害者の治療の現状と課題

医療観察法が施行されて4年が経ち,全国に指定病棟が設置されつつある。治療や管理が困難なことが多い触法精神障害者に適切な医療を施すためのノウハウを知ることは,一般の精神科臨床にも大いに役立つと思われる。本特集では医療観察法の運用の実際,矯正施設における治療の実際,性犯罪や地域サポートといった今日的問題を取り上げた。

臨床精神薬理
定価 3,045
月刊 臨床精神薬理 第12巻10号

特集:抗精神病薬治療に残された疑問点

近年、続々と重要なメタアナリシスが公表され、第二世代抗精神病薬という定義が揺らいでいる。そこで読者の疑問に答える形で特集を構成した。展望では、第二世代抗精神病薬は果たして陰性症状に効果があるのか、特集では、抗精神病薬非経口投与の可能性、効果判定期間、併用療法の考え方、初回エピソード改善後の維持治療期間、維持期における抗精神病薬の最小用量など、抗精神病薬治療における様々な疑問点を取り上げた。

臨床精神薬理
定価 3,045
季刊 こころのりんしょう à·la·carte 第28巻3号

特集:精神鑑定と責任能力

今年から運用が始まった裁判員裁判を踏まえ、精神鑑定についての正しい知識を、一般の方にもわかりやすくQ&A形式で解説。また、わが国の責任能力判断の問題点を鋭く突き、精神鑑定の本来あるべき姿を提示する内容ほか、司法の最先端で活躍する精神科医、法学者らの力作論文が満載。

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将来のリターンが見込めることだけ、やればいいでしょうか

この9月も沢山の学会がありました。中には、巨大な規模になってきた学会もあります。昔、学会では、1つのホールにいて、発表や講演の大部分を聞くことができました。最近は、学会によっては、規模が大きくなり、いくつものホールで同時に発表が行われているため、ほんの一部分しか聴講できないということがあります。

東京国際フォーラムで開かれた日本心理臨床学会では、当社の著者のお一人がご講演されるので、時間よりかなり早くご講演が行われる部屋に向かいました。何と、整理券を持っていない人たちの列が長〜く伸びていて、「最後尾はこちら」という看板を持った人が列の最後を示していました。バーゲンセールなどでは、長い列ができていることがありますが、それを見て、並んでまで買いたくないなあ、といつも思っていましたが、今回は、長〜い列の最後に30分ほど並んで、御講演を聞いてきました。立ち見の先生方も、長い時間、熱心に御講演を聞いていられました。クライエントの方々のためになることを学ぼうという熱意が伝わってきます。

学会に行ってみると、随分たくさんの先生方がいるんだなあ、と思えるのですが、実際の臨床現場は、受診希望者の需要を満たしてはいないようです。東京では、受診希望者がクリニックに電話すると、3か月先の予約しか取れないというようなこともあるようです。1か月待ちは、当たり前、という状況のようです。今の医療制度では、保険の適用は、数少ない医師の診察に対してだけですので、どうしても患者さんがあふれてしまいます。

自費で心理療法を受けるというのは、なかなかつらいものがあると思います。どの病気でも、病気の状態の時は、経済力も落ちていますので、その時に治療費を身銭を切って払うのは、厳しいものです。

イギリスでは、精神科医療に政府が支出する金額は、がんの医療にかける金額とほぼ同じくらいだということです。3大疾患の一つと受け止められています。まったく日本とは比べられないですね。政府がお金を出さない、医師の数は少ない、医師以外の職種が保険を申請できない、となると、どうしたらいいのでしょうか。

治療現場では、受診してくる患者さんだけを治療します。来ない人を治療することは、ないわけですね。きっと、こころの病を抱えて受診しない人は、沢山いると思います。家族が受診させたくても、それができない場合も多々あるでしょう。首を絞められたり叩かれたり、暴力を振るわれる、まったく話もできない、という状況にいるご家族も多いと思います。当社の本をお読みいただいたご家族から、ときどきお電話をいただきます。ご相談を受けても、答えが見つかりません。

医療政策がすぐさまいい方向に急変することもないでしょうし、治療者の数が飛躍的に増えるわけでもないでしょう。何か方法はないのでしょうか。例えば、治療施設に行かなくても、ご家族が集まれる場所があったらどうでしょうか。病院によっては、ご家族のための家族教室のようなものがあります。受診していなければ、そこに参加することもできません。日曜日など、大学とか官庁のビルなど、ガラ〜ンとしてます。便利な場所にある庁舎の会議室など、解放してくれて、病気別の御家族が集まれる、そこにはボランティアのセラピストがいる。大学院生とかすでに現役を終えたセラピストが、ボランティアでご家族の集まりのお世話をする。治療者の一方的なサイコエデュケーションよりも、ご家族同士のやり取りが、とても効果的なこともあるようです。もちろん、他者を批判しない、相手の話をじっくり聞く、相手の話に反論しない、自分の経験を話す、など、ルールはボランティアの治療者がしっかりとみなさんに伝えることは必要でしょう。現在のような不況の時代、自分の利益が優先されていますが、見返りを求めないボランティア精神がすごく大きな力になってくれるような気がします。

人気抜群の女性の経済評論家が、ある新聞に書いていました。リターンがあるかないかで、自分の大事な資源を使うかどうかをきめろ、というのです。リターンが見込めないものには、投資をしてはいけない、時間を使ってはいけない、というのです。明快と言えば明快ですが、この考え方が額面通りに受け止められ、信じ込まれてしまうと、どうなるんでしょうか。親が子供に、利益にならないことはしていけないと、教えるとしたら。こう考える人が、医療の世界にもいるとしたら。ボランティア精神も、浪費だ、と言われそうです。何の見返りも求めない無償の愛の行為は、時代の流れの中で埋没してしまうのでしょうか。

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