翻訳は本に役に立つ
中国で作られた餃子問題が、多くのメディアで報道されています。コピー製品問題がよく話題になっていたのですが、今回の事件は、何かをコピーしたものなのでしょうか。日本でも、和歌山でのカレーの毒物事件の後、新潟での職場ポット事件、偽やせ薬事件、紙パックの毒物事件、など模倣事件もいくつか起こっています。グリコ事件なども、今ではかなり昔の出来事になってしまいました。それとも今回の事件には、ノイエスがあるのでしょうか。
出版物も、かなりコピーされていると耳にしています。コピーというより、無断で翻訳されて出版されている可能性があるということが言われています。通常、外国の本を自国の言語に翻訳して出版する場合、著作権者に許可をとって(多くはその本を出している出版社から許可をもらいますが)、印税を払います。外国への印税は、定価の7%〜10%位のあいだで決められますが、慣例として、本が売れてからではなく、契約時に前払い金として初刷りの部数分の印税を払うことが多いです。翻訳権を買うのも、出版社になります。
以前、当社の本を翻訳出版したいと中国の出版社から連絡がありました。うれしいことなので、契約をし、前払い金がいくら、と決まりました。私たち日本の出版社は、翻訳権を買うことのほうが多く、いつも前払い金を支払い続けています。ですので、このときは珍しいことと、前払い金が払われてくるのを楽しみにしていました。翻訳本は、出版されたのですが、前払い金は、いまだにいただけないままです。これでは、前払い金ではなく、後払い金ですが、それでも未だにいただけないので、未集金になってしまうのかもしれません。
それでも、翻訳書がでて、読者のため、治療者のためになるのなら、それはとてもありがたいことなので、お金をいただかなくてもいいのですが、一応、翻訳契約だけはしてほしいと思っております。黙って翻訳出版されるのは、とても困るものですから、ここ3年ほど、北京で行われるブックフェアに当社も参加しています。中国の出版社の方にお会いして、当社の本の翻訳出版をお薦めしたいし、こうすることによって、違法な翻訳がなくなってくれるのではないかと期待しているわけです。
北京には、日本のようにたくさんの本屋さんがあるわけではなく、大きい書店がいくつかあるだけだという報告を聞きました。一つがかなり大きな書店で、本が飛ぶように売れているそうです。インターネットがすごく発達しているらしいですが、本への需要は、大変大きいようです。
日本では、出版不況と言われています。これは、内容も不況なのでしょうが、売上げが下がったということを言っているようです。出版社も売上げばかりに目を取られているので、売上げが上がらないのではないでしょうか。まずは、内容不況から脱出しなければ、出版社の存在意義がなくなってしまいます。
私どもの出版物も、翻訳されて出版されるということは、読んでくれる読者がいて、価値をみとめてくれるということなので、とてもうれしいことです。お金はいただけなくても、翻訳出版をしました、と教えていただければ、本当にありがたいことだと思っています。当社の本の翻訳書を読んで、とてもためになった、病気が良くなった、治療がうまくいった、などご意見が書かれた読者カードが外国から送られてきたら、などということを楽しみにしているのですが。
出版社が他業種の企業のように利益追求の企業にになってしまうと、仕方のないことかもしれませんが、とても残念なことのように思います。
売上げを忘れて初めて、売上げがついてくる、というような気がします。 |