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星和書店

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「こころの治療薬ハンドブック」の最新版が来年1月に発売予定です。
新薬の情報満載で、只今製作中です。正確な発売日が決まり次第、メルマガ、HPでお知らせいたしますので、ぜひご期待下さい。

こころのマガジン
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普通の精神科医?

《最新刊》
発行/11月6日
an ordinary psychiatrist? navigating the darkness of depression

普通の精神科医? ―うつ病の闇への航海―

明海 著  マーク・ソープ 写真解説  リー・ダンシー 訳
四六判 上製 224頁 ISBN978-4-7911-0648-6 〔2007〕 

定価 2,520 円(本体2,400円)

本書は、豊富な臨床経験をもつ精神科医が、自らのうつ病体験を克明に書き下ろしたきわめて珍しく貴重な記録である。 うつ病患者さんの苦しみを十分に理解していたはずだが、 いざ自分自身が病気になると、苦しみはその理解をはるかに超えたものだった。
著者は、この苦しいうつ病の闇からいかにして回復したのか。 16頁にわたるマーク・ソープ氏の美しい海の写真もすばらしい。 前半部分が日本語で、後半部分がその英語訳となっている。

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精神科治療学
定価3,024
月刊 精神科治療学 第22巻11号
特集

精神科臨床における性機能の問題 II

「性」はQOLの重要な構成要素の1つである。近年,性の問題がそれほどタブー視されなくなり,精神科臨床でも取り上げられる機会が増えつつある。前号と今号では,性機能の問題とその対策について,専門的な事項および一般の精神科臨床において必要な事項をまとめた。

臨床精神薬理
定価3,045
月刊 臨床精神薬理 第10巻12号
特集

双極性障害の薬物療法

躁状態とうつ状態の反復により大きな社会的損失を被る疾患である双極性障害に関する特集。生物学的研究の進歩を概観し、代表的な治療薬である気分安定剤の最近のエビデンスや、双極性うつ病・混合エピソード・ラピッドサイクラーに対する薬物療法、第二世代抗精神病薬の有効性、双極性障害の薬物療法に関するガイドライン・エビデンスを紹介した。



そんなの関係ねぇ!

水泳をするわけでもないのに、海水パンツのようなパンツ一つはいただけの筋肉質の男性が、いきなり画面にでてきて、「そんなの関係ねぇ、、そんなの関係ねぇ、そんなの関係ねぇ」と繰り返していました。

何の悩みも存在しないエデンの園から悩み多き世界に追放された人間ですから、日々、いろいろなことで心を悩すことも、定めなのでしょう。一言で悩みといっても、痛みを伴うもの、いやな気分を引き起こすもの、など、その意味するところは、様々であるでしょう。たとえば、昼食に、ハンバーガーを食べるか、カレーを食べるか、選択に悩むこともあるでしょう。ハンバーガーを選択して、貴重な一日の昼食代を使い、それがすごくまずくて、後悔し、ああ、カレーを食べるんだった、と午後の時間、ずっと悩んでいることもあるでしょう。そうすると、いやな気分になって、そのうち、昼食代を損したことは意識から消えていくのですが、いやな気分は、その後も続いて、何でいやな気分なのかも分からないのに、いやな気分がつづく、ということもあるでしょう。このような感情は、心のなかで、体験した事実とは別の場所にしまわれているようです。心のある部分にしまわれているいろいろな感情が、体験した事実とは関係なしに、心の中に出てくることがあるようです。あるとき、ふと、この気持ちは、以前どこかで感じたことがある、と思うのですが、それが何か思い出せないということはないでしょうか。

何で悩んでいるのか、どうしてこのような心の痛みがあるのか、理由はわからず、気分の悪い状態が続いていることがあります。精神科の治療でも、いろいろ治療を試みてきています。脳の中のニューロンにおける問題と考えられるとして薬物が処方されます。心理的には、その原因が何かを、自由連想や催眠など、いろいろな手法を用いて突き止めようとする努力もなされてきました。ただ、理由が分かっても、心の痛みがなくならないことも多いということから、いろいろな心理療法が出てきました。 悩んでも解決できないこと、原因が分かったとしても解決できる問題ではないこと、など、多々あります。仏教に素人の私が仏教のことを言うのは、大変僭越なのですが、お題目をとなえると救われる、という教えがあったと歴史書にでていました。悩んでもしかたない、お題目をとなえることで、煩悩に左右されないお釈迦さまの悟りの境地にちかづきたい、ということでしょうか。

アメリカの心理療法では、今、仏教的な考えがずいぶんと取り入れられています。フロイト的な精神分析から、マインドフルネスへ、ということでしょうか。 日本の森田療法にも、作業という段階があって、悩みを持っていても、それを解決するというのではなく、ある作業を黙々とすることによって、その悩みにとらわれなくなる、といわれています。

小島よしおが「そんなの関係ねぇ、そんなの関係ねぇ、そんなの関係ねぇ」と拳を振り回しているパフォーマンスが子どもにも人気があるようです。悩みの原因をいろいろ詮索するのではなく、そんなの関係ねぇ、と言うことで、心の中からその悩みを追い出してしまう、という悩みに対する実にプラクティカルな手法のように思います。1回ではなく何回か言うというのがみそです。一回では、なかなか心から悩みがいなくなってくれません。何回も言うと、なんとなく気分が良くなってきます。いやな気分になることがあったら、そのいやな気分に向けて、何回か「そんなの関係ねぇ」と繰り返してみると、意外に気分が晴れるかもしれません。なにしろ、気分の悪いことだらけの今日この頃、うつ気分にさせられることが多い昨今、平和を願うオッパッピーは、ただのお笑いパフォーマンスではないと感心させられました。