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星和書店
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リカバリーをめざす統合失調症の認知行動療法ワークブック

リカバリーをめざす統合失調症の認知行動療法ワークブック

私の「ふつう」を取り戻すための技法を学ぶ

ダグラス・ターキングトン ら 著
菊池安希子、佐藤美奈子 訳

A5判 並製 264頁
ISBN978-4-7911-0939-5〔2016〕
本体価格 2,600 円 + 税

認知行動療法で、「ふつう」の生活、いつもの生活を取り戻す!
精神病(統合失調症など)に悩む本人や介護する人、精神保健の専門家が、認知行動療法(CBT)を学ぶための最適の書。精神病の基礎的な問題や主な症状であるパラノイアや幻声・妄想などを各章で取り上げ、読者が問題解決のためのエクササイズを一つ一つ行っていくことで、それらの問題が対処可能となる。また服薬の大切さを理解し、自分に合った薬を専門家に選択してもらうためのスキルの習得や、陰性症状への対処、ストレス脆弱性の理解の仕方など、本人や介護者に向けたさまざまなCBTアプローチを紹介する。豊富な記入欄が用意されていて、本人一人でも、介護者や専門スタッフといっしょにでもCBTに取り組むことが出来る。

病気じゃないからほっといて《電子書籍版》

精神鑑定への誘い
《電子書籍版》

精神鑑定を行う人のために、精神鑑定を学びたい人のために

安藤久美子 著

本体価格 2,200 円 + 税

精神鑑定は他人事だと思っている精神科医に、ある日、依頼の電話がかかってくるかもしれない。 精神鑑定が行われる件数は、毎年増加し続けているため、これまで精神鑑定に携わってこなかった医師たちにも精神鑑定の依頼が来る時代になってきた。 本書には、精神鑑定の依頼の受け方から鑑定面接の仕方、鑑定書の書き方まで、精神鑑定を行うための必要十分な知識が分かりやすく解説されている。また、内容も面白く、やさしい記述で、精神鑑定がどのようなものであるかを小説を読むかのように楽しく理解することが出来る。精神鑑定をこれから行う医師にとっても、心理士やPSWなど精神鑑定に携わる方にとっても極めて役立つ心強いガイドブックである。一般の方にとっても、裁判員に選ばれる可能性のある現在、精神鑑定を易しく理解できる最適の書である。



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精神科治療学
本体価格  
2,880
円+税
月刊 精神科治療学 第31巻8号

特集:LGBTを正しく理解し,適切に対応するために

LGBTは、精神障害なのか?LGBTは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字を集めた略語である。かつて精神医学で病理と捉えられていた同性愛を含む多様な性のあり方は、現在では精神障害とはみなされていない。本特集では、一般精神科にLGBT当事者が、生きづらさや特有のメンタルヘルス問題を抱え、訪れた際に適切に対応するために、その概念や歴史的経緯を基礎から紹介し、さらに彼らのニーズに沿った医療を提供するための具体的対応方法を取り上げた。これからの精神科医が求められるLGBTの正しい理解と適切な対応のために必読の特集。
JANコード:4910156070863

臨床精神薬理
本体価格   
2,900
円+税
月刊 臨床精神薬理 第19巻9号

特集: 認知症の薬物療法―最新Update―

認知症領域を疾患横断的に状態像ごとに切り取り、認知機能低下、幻覚妄想状態、焦燥・不安状態、心気・抑うつ状態、行動症状に対する薬物療法について、それぞれ現時点で最新の情報を紹介した特集。
ISBN:978-4-7911-5227-8

精神科臨床サービス
本体価格   
2,200 +税
季刊 精神科臨床サービス 第16巻3号

特集:新しい就労支援の取り組み

就労支援を適切に行うための知識と技術──。精神障害者の雇用義務化、法定雇用率の引き上げなどにより、一般企業での精神障害者の雇用が進み、また2010年ごろより株式会社等が就労支援事業に参入してきた。こういった新たな流れを受けて、今号では就労支援の知識と技術をアップデートすべく、行政の法令や施策の解説、さまざまな就労支援プログラムの紹介、疾患別就労支援方法などに加え、実際に就職活動を行った当事者の声を示すなど、多角的な視点で就労支援のポイントを探る。また、就労支援機関の解説や失敗から学ぶ就労支援など、役立つ情報が満載。“働きたい精神障害者”のために就労支援の仕組みと実情、抱えている課題を学ぶ。
ISBN:978-4-7911-7163-7

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  今月のコラム

 
今月のコラム
双極性障害と日常性の回復
大賀健太郎

双極性障害の対人関係社会リズム療法:臨床家とクライアントのための実践ガイド』は、睡眠研究で有名な米国ピッツバーグ大学で臨床心理士として、気分障害の臨床と研究に長年関わってこられたエレン・フランク博士が考案された双極性障害に対する心理社会的介入法であるInterpersonal Social Rhythm Therapy(IPSRT)の本格的な解説書です。私は10年前、双極性障害の治療に苦労していた時期に原著1)を読み翻訳の必要性を痛感し、日本大学医学部精神医学系主任教授の内山真教授に、ピッツバーグ大学医学部のティモシー・モンク教授を通じてエレン・フランク博士に連絡をとっていただき本書の翻訳を始めました。本書の豊富な事例がフランク博士の臨床経験の深さを物語っています。薬物療法を中心に双極性障害について学んできた頭でっかちのわれわれ精神科医とは異なり、臨床心理士として生活を重視した視点で関わってこられた経験がもとになってIPSRT は生み出されたのだと思います。

私は、双極性障害の初期症状として、思考と感情と行動が一致しなくなる解離が起こることを原著1)の症例を読んで初めて知りました。大学の保健室で校医をやっている私の経験から推察すると、高校から大学に進学して、一人暮らしをはじめた学生が、5月の連休明けに精神的な不調をきたす病態の一部には、このことが影響しているかもしれません。ある女子学生は、「勉強を始めようとしても気持ちがなかなかのってこない」「友達とおしゃべりをする時にタイミングを合わせることができなくなってしまった」ことを苦にされていました。高校までは、学校でも家でも毎日のスケジュール、一週間のスケジュールが固定しています。ところが、大学では、履修登録した授業によって、始業の時間がまちまちになるため、起床の時間もばらばらになり、またアルバイトで夜遅く帰宅する例もあり、一人暮らしのために食事をとる時間も回数も日によって変わってくることもあります。社会人では、交代制勤務やパート勤務で同じような生活リズムの不規則化が起こります。このような環境の変化を契機にもともと脆弱性のある人では、知情意の解離が起こり気分障害を発症することになります。朝覚醒しても、身体が思うように動かず、テンションも上がらない、逆に夕方から突然、気持ちが失速し、判断力が落ちて、衝動的になり過食や自傷行為が出現するといったことが起こります。一度歯車がずれてしまうと、いままであたりまえのようにやっていたことができなくなり、回復まで数年を要することがあります。本書では、たくさんに事例に即してIPSRT の治療者が、社会生活リズムを安定化させるための具体的なアドバイスを行い、患者さんの試行錯誤に寄り添っていく様子が描かれています。

タイミングが合わないことで、人間関係で誤解が生じたり、摩擦が生じたり、破綻をきたすことがあります。マイペースだったり、頑固だったり、主導権を争ったりするために、自己中心的で傲慢な人間と誤解され社会的に孤立してしまうこともあります。これらの対人関係の齟齬を認知行動療法的に解きほぐし、病気によって失われたものについてモーニングワークを行っていくのが対人関係療法です。対人関係療法については、水島広子先生が第一人者で、私もセミナーに参加しました。

双極性障害の治療で精神科医が最も苦労するのが、躁うつ混合状態です。通常のうつ状態や躁状態では思考と感情と行動のベクトルが一致していて、憂うつな時には、頭が働かず、何事も億劫になるのに対して、爽快気分に伴い頭の回転が速くなり、行動が速くなるのが一般的です。ところが、混合状態では、知情意の歯車が噛み合わなくなるのです。原著1)に出会った10年前私は、大人のADHDに躁うつ混合状態を合併した30代の女性の治療に苦労していました2)
 もともとは、大変明るく、社交的な人でしたが、睡眠時間が短縮し多弁多動になり、人が変わったようになり、急に笑ったり大声を出したり、過食になる日が数日続いた後、急に気分が塞ぎ身体を動かすことができなくなり、数日間寝込んでいたと思うと、罪業妄想にとらわれ自殺未遂で入退院を数回繰り返していました。状態が急激に変化し、また予測がつかないために従来の症状をターゲットにした薬物療法だけでは、いたちごっこで、次第に多錠併用処方になっていきました。

以前より双極性障害の生物学的脆弱性として、睡眠障害が注目されており、Van Somerenらが、双極性障害の高リスク群では低リスク群比べて、日常生活リズムや社会生活リズムが減弱しやすいことを証明し、BenBullockらは、日常生活リズムの不安定さは双極性障害の生物学的指標ではないかと考えました。

そこで私は、Van Someren博士の論文にならって、患者さんに体動計を装着してもらい、睡眠衛生教育を行いながら気分安定薬を中心とした処方に整理していきました。激しい衝動行為はなくなったものの、歯車が噛み合わない状態は改善せず、患者さんは、1年以上だらだらした生活を続けて苦しんでいました。

このときこの原著1)を読み、ティモシー・モンク教授が考案されたSocial Rhythm Metric (SRM)を使いながら、意欲を高める目的で、いままで妄想を抑える目的で使ってきた非定型抗精神病薬をアリピプラゾールという新薬に置き換えたところ、患者さんの起床時間が一定になり、歯車が噛み合うようになり、規則正しい生活を送れるようになりました3)。患者さんの生活態度に変化があらわれ、「朝起きれるようになってデイケアに行き、生活の枠組みができた」「思いつきで家事をすることが少なくなり、主婦だからコツコツと家事をこなそうという自覚がある程度出てきた」「予想をはずれても大きく動揺したり、被害的になることは少なくなった」と言われていました。患者さんは気分が安定して、生まれてはじめて、等身大の自分を見出せるようになったのです。症状をなくすという治療から日常生活を回していけるように環境を調整することで、再発を予防することができるようになったのです。

以上、『双極性障害の対人関係社会リズム療法:臨床家とクライアントのための実践ガイド』について主観的に紹介してきましたが、本書の監訳者あとがきで阿部又一郎先生が客観的な解説をしていますので、そちらもご参照ください。

文献
1)Frank E : Treating Bipolar Disorder : A Clinician's Guide to Interpersonal and Social Rhythm Therapy. Guilford Pr, New York, 2005.
2)大賀健太郎,遠藤拓郎,内山真 ほか:成人期のAD/HD にみられた躁うつ混合状態にバルプロ酸ナトリウムの併用が有効であった1例.Bipolar Disorder 5,p64-73,アルタ出版,2007年5月.
3)大賀健太郎,遠藤拓郎,内山真 ほか:成人のAD/HD に合併した双極性うつ病相にアリピプラゾールが奏功した1例.Bipolar Disorder 6,p70-77,アルタ出版,2008年5月.

大賀健太郎(おおが けんたろう)
順天堂大学医学部卒業、同大学附属病院内科研修医、L.ビンスワンガー著「精神分裂病」の症例エレン・ウエストを読み上智大学文学部哲学科に編入し、ハイデガー哲学を学ぶ。日本大学医学部勤務を経て、2015年より東雲メンタルヘルス研究室室長。日本大学医学部兼任講師。
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