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星和書店
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双極性障害の対人関係社会リズム療法

双極性障害の対人関係社会リズム療法

臨床家とクライアントのための実践ガイド

エレン・フランク 著
阿部又一郎 監訳
大賀健太郎 監修

A5判 並製 384頁
ISBN978-4-7911-0932-6〔2016〕
本体価格 3,500 円 + 税

対人関係社会リズム療法は、対人関係療法と社会リズム療法を統合し、双極性障害の治療法としてエレン・フランクが開発した。薬物療法と併用しても単独で施行してもきわめて効果的な治療法。

病気じゃないからほっといて

病気じゃないからほっといて

そんな人に治療を受け入れてもらうための新技法LEAP

ザビア・アマダー 著
八重樫穂高、藤井康男 訳

四六判 並製 356頁
ISBN978-4-7911-0931-9〔2016〕
本体価格 2,400 円 + 税

治療をこばむ人に必要な治療を受け入れてもらうための新技法LEAP(傾聴−共感−一致−協力)。統合失調症の兄をもちコロンビア大学教授となった著者が、自らの経験から開発したLEAPを解説する。

予防精神医学

予防精神医学

脆弱要因の軽減とレジリエンスの増強

小椋 力 著

A5判 並製 280頁
ISBN978-4-7911-0930-2〔2016〕
本体価格 2,900 円 + 税

統合失調症・うつ病・発達障害など、家庭・学校・職場における予防対策等をわかりやすく解説。精神保健・医療関係者にとって予防精神医学のすべてを1冊で知ることができるこの上なく有用な書。

精神科・心療内科にかかる前に読む本《電子書籍版》

精神科・心療内科にかかる前に読む本
《電子書籍版》

精神科医が患者さんの目線で書いた物語

中山靜一 著

本体価格 1,600 円 + 税

精神科や心療内科を受診すると、どんなふうに面接や治療が進むのか? 面接の様子が患者さんの目線からテンポよい会話文で書き表され、受診してからの経過が良く分かる。病気の解説も分かりやすい。



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精神科治療学
本体価格  
2,880
円+税
月刊 精神科治療学 第31巻5号

特集:学校と精神医学 II

学校は精神医学に何を求めているか。精神医学は学校にどうかかわるのか。人のメンタルヘルスに多大な影響を及ぼす学校。学校におけるメンタルヘルスの問題に貢献する精神医学。前号に続き本号でもこの問題に鋭く切り込む。本号では、思春期・青年期の問題行動と学校精神保健、セクシュアルマイノリティへの支援、薬物乱用防止教育、中高一貫校における生徒のメンタルヘルス、精神障害のある生徒への進路指導、高校中退者のサポート、学校と精神科医療の連携、精神科校医の役割、教師のメンタルヘルスなどを取り上げた。学校における精神医学の重要性がわかる特集。
JANコード:4910156070566

臨床精神薬理
本体価格   
2,900
円+税
月刊 臨床精神薬理 第19巻6号

特集: 新規抗精神病薬Asenapine舌下錠とは/双極性障害の薬物療法:病像や経過に応じて使い分けるコツ

Asenapineがわが国で9番目の第二世代抗精神病薬として承認された。向精神薬では珍しい舌下錠であり、本特集では基礎薬理学的特徴、薬物動態、臨床的位置づけ、系統的レビュー、服薬指導とアドヒアランスの重要性について情報を網羅した。また、診断と薬物選択が難しい双極性障害に関する最新の知見と薬物療法のコツを、双極スペクトラム、混合状態、高齢者、双極性うつ病についてそれぞれエキスパートが紹介した。
ISBN:978-4-7911-5224-7

精神科臨床サービス
本体価格   
2,200 +税
季刊 精神科臨床サービス 第16巻2号

特集:これでいいのか うつ病治療:どうしたらいい よくならない抑うつ症状 II

うつ病患者を適切にサポートするための技術──。慢性・難治うつ病の攻略法を数多くの事例から紹介した前号に引き続き、今号ではうつ症状への治療・支援戦略や、他の精神障害に伴う抑うつ症状への対応、専門治療の具体的な方法などを各分野のエキスパートが詳細に解説。長く続く抑うつ症状を持つ患者に対して、精神科医の関わり、心理職の関わり、家族支援や復職・就労支援など、多角的な視点で効果的なポイントを探る。また、脳のストレス反応からのうつ病の考察や、トラウマが作る精神症状、長く続く抑うつ症状を改善させたエキスパートの体験など、臨床に役立つ知識が満載。難しいうつ病患者の支援に悩む人たちが、明日から活用できる手立てを学ぶ。
ISBN:978-4-7911-7162-0

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今月のコラム

 
今月のコラム
LEAPとの出会い―治療を受け入れてもらうために― 後編
八重樫穂高

大雪の恐怖を抱えつつもいよいよニューヨークへと旅立ったわけだが、そんな悪条件の中で不幸中の幸いとも言えることがあった。それは研修会の参加者が大雪のために軒並みキャンセルをしたため、Amador先生とマンツーマンでの研修を受けられることになったのだ。この研修会はだいたい月に1回のペースで開催され、2日間にわたってLEAPの基礎から応用を学ぶ。参加者は1回あたり5組までという小規模なもので、LEAPについての研修に加えて、かなり個人的な相談をする場としても活用されているようである。我々のような治療者であれば、LEAPに関する疑問点などだけでなく、実際の臨床の中で困っていることを相談したりすることもできる。また、当事者の家族であればLEAPを学びながら、普段抱えている問題点に関して実践的で個人的なアドバイスをもらったりもできるのだ。今回は特殊なケースで、天候の問題やマンツーマンの指導ということもあって2日間の日程を1日に詰め込むことになった。

Amador先生に直接会ってなにを尋ねようかなど考えつつ、12時間を超えるフライトを経てニューヨークに到着した。留学中であった先輩医師が空港まで迎えに来てくださり、久しぶりの再会に話を弾ませながら、先輩宅へと向かった。ニューヨークは思いのほか除雪システムがしっかりとしているらしく、大雪から1週間程度しか経っていなかったが、街中の運転は心配しなくても大丈夫な程度であった。その日はそのまま先輩宅に一泊させて頂き、翌日を現地までの移動に使うこととした。翌朝、先輩とその家族に別れを告げ、空港まで戻ってレンタカーを借りた。LEAP Instituteのオフィスはニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港からさらに高速道路で1時間半ほど東へ向かった、Long Island島の先にあるRiverheadという街にある。その辺りは自然豊かな、とても静かで良い雰囲気の田舎町であり、オフィスのすぐ裏にはPeconick川という大きな川が流れていた。

運転中は多少の緊張はあったものの無事に宿泊先のホテルまでたどり着くことができた。そのホテルの隣には水族館があって、その入り口正面にある水槽でアザラシが寒空の下、気持ち良さそうに泳いでいたのが印象的であった。その日は比較的スケジュールに余裕があったため、周辺の散策や次の日の研修に向けて準備をしようと思っていたのだが、長時間のフライトによる時差ぼけと、慣れない海外での運転のため疲労困憊であったようで、チェックインするや否や泥のように眠ってしまった。

そして、いよいよLEAP研修の当日である。Amador先生とはメールでやり取りをし、オフィスで直接待ち合わせすることになっていた。オフィスの駐車場に車を停めると、先生もちょうど到着したところで、日本からはるばるよく来たねと、あたたかく迎えてくださった。その傍らには高校生くらいのかわいらしい女の子がおり、先生のご長女だと紹介を受けた。Amador先生はとても気さくな優しい方で、オフィスに入って早々、何冊かの著書をサイン入りでプレゼントしてくれた。私の方も山梨から持ってきていた伝統工芸品である印伝作りのメガネケースなどをプレゼントした。そのような始まりで研修自体はゆったりとした雰囲気で進んでいったが、私としては盛り沢山の内容であった。午前中はLEAPに関しての総論を一通り教わり、簡単なロールプレイなども交えながら講義が進んでいった。少し疲れたなというところで昼休憩となり、近くのメキシコ料理店で、先生の娘さんと3人で雑談しながら美味しいランチをごちそうになった。Amador先生は、世界中を飛び回って活躍されており、多忙な生活を送られているようで、現在は中東方面でのLEAP教育に力を入れているようであった。日本にはまだいらしたことはないけれど大変興味がおありとのことで、一度日本にも観光ついでに来ていただき、講演会などで直接、LEAPの話などもお願いできれば、というような話もしておいた。午後の研修はもう少し踏み込んだ内容となり、これまでに感じていた疑問や、翻訳に関するアドバイス、今後の展開などについても詳しく相談ができ、とても充実したものであった。その中でわかったことは、LEAPには公式のトレーニングマニュアルがあり、公認トレーナーになるにはライセンス取得が必要だそうである。そのトレーナーでもレベル1、レベル2という段階があるそうだ。日本人がLEAP Institute主催の研修会に参加すること自体、私が初めてだったようで、もちろんLEAP トレーナーはまだ日本には存在していない。今後私もそのライセンスの取得を検討していきたいと思ってはいるが、ほかに日本でも興味のある方があれば是非とも取得していただきたいものである。

今回の研修を通して私自身、非常にLEAPへの理解が深まり、また、Amador先生から特別にLEAPのトレーニングマニュアルやGAINアプローチのマニュアルなども頂くことができて大変有意義なものとなった。今後、日本でもLEAPをはじめとした病識に乏しい方への取り組みをどんどん進めていかなくてはと、改めて決意した次第である。そして、『病気じゃないからほっといて―そんな人に治療を受け入れてもらうための新技法LEAP』がその取り組みを充実させ、患者やその家族の目標達成にすこしでも役立つことを願う。

八重樫 穂高(やえがし ほだか)
2011年、山梨大学医学部卒業。2011年より山梨県立中央病院初期臨床研修医、2013年より山梨県立北病院精神科後期臨床研修医。2016年より、山梨県立北病院精神科医師として勤務。ニューヨークにてXavier AmadorからLEAPのレクチャーを受ける。
訳書:『病気じゃないからほっといて―そんな人に治療を受け入れてもらうための新技法LEAP』(共訳,星和書店刊)
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