http://www.seiwa-pb.co.jp/htmlmail/151.html
星和書店
お知らせ

NEW!「大人の発達障害」の特集ページができました

今月の新刊 next
摂食障害から回復するための8つの秘訣

摂食障害から回復するための8つの秘訣

回復者としての個人的な体験と摂食障害治療専門家として学んだ効果的な方法

キャロリン・コスティン、グエン・シューベルト・グラブ 著
安田真佐枝 訳

A5判 並製 368頁 ISBN978-4-7911-0912-8〔2015〕
本体価格 2,500 円 + 税

実際に摂食障害に苦しみ、そこから回復し、心理療法家となったコスティンとグラブの2人により執筆。当事者と専門家としての両方の視点から、回復への道筋をたどる秘訣を分かりやすく紹介する。

外来精神医療、いま何が求められているのか

外来精神医療、いま何が求められているのか

説明と同意に基づく納得診療の実際

江畑敬介 著

A5判 並製 192頁 ISBN978-4-7911-0911-1〔2015〕
本体価格 2,600 円 + 税

入院から外来中心の医療へと大きな変化が生じている精神科医療の現在。家族や職場の人々、地域の福祉サービスと緊密に連携し、患者が納得する治療を進めるための実践的指針をわかりやすく示す。


   雑誌の最新号 next
精神科治療学
本体価格  
2,880
円+税
月刊 精神科治療学 第30巻9号

特集:治療を進める上での病識、病感 I

治療継続や医師-患者関係を築く上できわめて重要な病識や病感。精神科臨床において病識や病感を当事者や家族がどの程度持っているかは、その後の治療の進展に大きな影響を与えるため、この特集では各疾患や場面ごとに病識や病感の現れ方を2号にわたり解説。今号では病識を導く疾患教育のあり方、病識の評価尺度、統合失調症はじめ主な精神疾患ごとの病識について取り上げた。統計やエビデンスだけでは解明しない病識や病感について理解を深めることができ、臨床に資する特集。
JANコード:4910156070955

臨床精神薬理
本体価格   
2,900
円+税
月刊 臨床精神薬理 第18巻10号

特集: 治療抵抗性うつ病の治療戦略

SSRIの登場以降、多くの新規抗うつ薬が使用可能となった一方で、それらの抗うつ薬で治療しても寛解に至らない治療抵抗性うつ病が未だ多く存在している。本特集では、まずうつ病の治療メカニズムを展望し、診断と危険因子、薬物代謝の観点からみた治療戦略、抗うつ薬併用、気分安定薬や非定型抗精神病薬の効果、ベンゾジアゼピン系薬剤の併用やketamineの効果と問題点、光線療法・断眠療法・運動療法などの補完的治療について、それぞれ治療抵抗性うつ病の治療戦略を概説。
ISBN:978-4-7911-5216-2

トップへ
  今月のコラム
 
今月のコラム
時間を味方につけよう
精神科福岡県職員相談室   中島美鈴

朝起きてから、身支度をして、朝ご飯を食べて、仕事に向かうために玄関のドアをあけるまで、あなたは何分かかっていますか。そしてその時間の中で、だいたい朝しなければならないことを終えることができていますか。
  「ほんとはもっと丁寧に化粧する時間が欲しかったのに」
  「時間があれば、朝食もシリアルじゃなくて、ご飯と納豆と味噌汁、焼き魚なんてあると最高なのだけど」
 朝のこの時間帯について、「非常に満足していて余裕の朝を迎えることができています」と胸を張っていえる人が何人いるのでしょう。

日中は日中で、こんなことはないでしょうか。
 職場では、仕事Aの処理中に、電話が鳴って急ぎの仕事Bが割り込んできた。仕事Bを処理していたら、仕事Cが舞い込んできた。
 複数の仕事が一気に押し寄せて、頭の中はパニック寸前。もうどこから手をつけてよいかわからないし、ひとつの仕事に取り組んでいても、他の仕事が気になってしょうがない!

仕事帰りに友人と待ち合わせ。18時に会社から3駅離れたカフェで落ち合うことにしていたが、仕事を終えて、駅前の薬局に立ち寄ったら、前から欲しかったサプリを発見し、店員さんに説明をきくことに。ふと気づいたらもう18時! 遅刻だ!

夕方帰宅して寝るまでの時間も戦争です。 
 帰宅して郵便物とかばんと買い物袋を一旦置いたら、息つく暇もなく夕食の準備! といきたいところだけど、夕立ちで洗濯物が濡れてしまう! 大慌てでベランダに飛び出すと、その先で目に入った植木の手入れに没頭。気づくと台所の鍋がふきこぼれていた……。

気づけば秋。肌寒くなってきたから、そろそろ衣替え。でもこれがまた面倒くさい。やらなければと思うのに、ずるずる先延ばし。
 夜は夜で、夜更かしなどせず、早く寝てしまえばよいのに、いつまでもだらだらテレビを見たり、インターネットをしたり、よせばいいのにお菓子まで食べて……翌朝は案の定、眠くて起きられず、食べ過ぎの胃はムカムカもたれてる……。

さあ、いかがでしたか? 心当たりはありましたか?
 これらは、全て「時間管理」という概念に関するものです。ビジネスの世界では「タスク管理」とか「スケジュール管理」とも呼ばれています。
 時間に追われる生活から、時間をきっちり管理して、味方につける生活にできたら、毎日がどんなに素晴らしいでしょう。
 しかし、時間を管理することに手こずっている人は、予想以上に多いようです。時間を管理することは、実は多くの能力を必要とするからです。

  1. スケジュールややるべきことを書き留めておくツールを決めたら、それをなくさずにいる。
  2. そのツールを毎日忘れずに見返して、スケジュール通りにこなす。
  3. やるべきことを箇条書きにしてリストアップする。
  4. 約束の時間や締め切り期限から逆算して実行する日時を決める。
  5. 大きな複雑な仕事を、小さな仕事に分解することができる。
  6. 気乗りしない仕事に対しても、自分でモチベーションを高めて挑む。
  7. 複数のやるべきことに優先順位をつける。

ざっと書き出しただけでも、これだけあるんです。これらが全て機能して初めて時間を味方につけることができるのです。
 こうした時間管理が苦手とされるのは、大人のADHDの方です。ADHDの方が無理なく上記の1〜7の力をつけていけるよう構成されたのが、今月(2015年8月)に発売されたばかりの翻訳書『成人ADHDの認知行動療法』です。

大人のADHD の特徴は次のようなものです。身に覚えはありませんか?

  • 書類の作成などやらなくてはならないことがある時に限って、部屋の掃除を始めたりテレビを見たりして、別のことばかりしてしまう
  • バスや電車、映画館などじっと座っていなければならない場面で、苦痛や退屈をかなり感じてしまう
  • しょっちゅう物を失くして、探してばかりいる
  • 期限のある振り込みや書類作成、手続きが苦手。いつも期限ギリギリで、間に合わないこともある
  • やることが多くてどこから手をつけていいかわからず、常に追われてパニックだ。そういうとき、結局どれも中途半端になるか、全てを放棄して現実逃避したりする
  • その場の感情や思いつきで行動してしまうことが多く、あとで後悔する
  • 人と待ち合わせすると、遅れてしまうかギリギリになってしまうことが多い
  • 次の日早く起きなくてはいけないとわかっていてもついつい夜更かししてしまったり、仕事の日でも遅刻したりするなど、生活リズムについて深刻な悩みがある
  • そんなに話したいわけでもないのに、気づいたらしゃべりすぎてしまっていることがよくある
  • そそっかしくミスが多い
  • 忘れ物をすることが多い
  • 人の話を最後まで聞かずに、遮って話し始めてしまう

「あてはまるかも!」と思われた方や、時間をもっと味方につけたい方に、翻訳書『成人ADHDの認知行動療法』はおすすめです。前半は、大人のADHDの特徴や診断、理論、併存症に治療法、事例などが書かれている専門家向け、もしくは一般書よりももう一歩知識を深めたい方向け。後半は、大人のADHDの集団認知行動療法用のワークブックとリーダーズマニュアルになっています。クリニックの診療の中で、主治医と共に1章ずつ取り組むワークブックのように使われてもよいでしょう。お一人で、セルフヘルプとして用いるのもよいでしょう。デイケアなどのグループで時間管理について学ぶグループやADHDグループを作って、集団用ワークブックとして用いるのもおすすめです。

配信停止希望