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星和書店
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認知行動療法実践ガイド:基礎から応用まで 第2版

認知行動療法実践ガイド:
基礎から応用まで 第2版

ジュディス・ベックの認知行動療法テキスト

ジュディス・S・ベック 著 伊藤絵美、神村栄一、藤澤大介 訳

A5判 並製 552頁 ISBN978-4-7911-0907-4〔2015〕
本体価格 4,500 円 + 税

世界各国語に翻訳され、認知療法を実践する治療者が必ず読むべきテキストとして高く評価されている「認知療法実践ガイド:基礎から応用まで」が、大幅に改訂され、第2版が出版。本書はその全訳である。

自分でできるスキーマ療法ワークブック Book 1

自分でできるスキーマ療法ワークブック Book 1

生きづらさを理解し、こころの回復力を取り戻そう

伊藤絵美 著
B5判 並製 240頁 ISBN978-4-7911-0903-6〔2015〕
本体価格 2,600 円 + 税

自分でできるスキーマ療法ワークブック Book 2

自分でできるスキーマ療法ワークブック Book 2

生きづらさを理解し、こころの回復力を取り戻そう

伊藤絵美 著
B5判 並製 272頁 ISBN978-4-7911-0904-3〔2015〕
本体価格 2,800 円 + 税

スキーマ療法は、ずっと抱えてきた生きづらさなど認知行動療法では効果の出ない心の深い部分の認知に働きかけ、大きな効果をもたらす。生きづらさから回復し生きやすさをつかむために。

認知行動療法カウンセリング実践ワークショップ

認知行動療法カウンセリング
実践ワークショップ

CBTの効果的な始め方とケースフォーミュレーションの実際

伊藤絵美 著

A5判 並製 196頁 ISBN978-4-7911-0905-0〔2015〕
本体価格 2,400 円 + 税

初級編に続き、CBTの要である「導入」「アセスメント」「ケースフォーミュレーション」をテーマに、セラピストがCBTを安全に開始し、効果的に進めていくために必要な考え方や実践方法を学べる。

DVD認知行動療法カウンセリング実践ワークショップ


dvdDVD認知行動療法カウンセリング
実践ワークショップ

CBTの効果的な始め方とケースフォーミュレーションの実際

伊藤絵美 著

A5判 DVD2枚組(収録時間:計5時間23分)
ISBN978-4-7911-0906-7〔2015〕
本体価格 8,000 円 + 税

伊藤絵美が行っている大好評のワークショップを完全録画。セラピストがCBTを安全に開始し、効果的に進めていくために必要な考え方や実践方法をワークショップの臨場感そのままに学べる。


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精神科治療学
本体価格  
2,880
円+税
月刊 精神科治療学 第30巻7号

特集:持効性注射製剤の意義再考

いま、改めて見直したい持効性注射製剤(デポ剤)。わが国では抗精神病薬の持効性注射製剤はかつて強制的な治療に使用されたことから、いまだに多くの精神科医や患者が敬遠し、使用率は低いままである。しかし統合失調症の再発・再入院に有用であることなどから再評価されるべき製剤であると思われる。本特集は外国の使用状況としてイギリスを取り上げ、また適応と副作用、使用方法、倫理について解説。さらに最近、問題となったゼプリオンの死亡例に関連して、ゼプリオンから何を学ぶか、というコラムを複数の著者がそれぞれの立場から執筆。今後、持効性注射製剤を使用する際の指針となりうる特集。
JANコード:4910156070757

臨床精神薬理
本体価格   
2,900
円+税
月刊 臨床精神薬理 第18巻8号

特集: 国家的大規模研究から分かること、分からないこと

数万例・数十万例という大規模なデータベースをもとに説得力を持った研究が数々発表されてきている。本号では北欧や台湾、英国、米国、日本における大規模データベース研究について、それぞれの登録システムや各国の医療事情等を紹介し、大規模研究の意義と限界、これからの可能性・発展性を検討した。第2特集として不眠症治療の新薬suvorexantの全貌を紹介。
ISBN:978-4-7911-5214-8


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今月のコラム
認知行動療法のセラピストとして(その1)
マカオでバンジー
 洗足ストレスコーピング・サポートオフィス  伊藤絵美

私は臨床心理士として認知行動療法(CBT)を専門にかれこれ20年以上、医療機関(精神科)、企業や大学の相談室、民間カウンセリング機関などで仕事をしてきています。認知行動療法とは、簡単に定義すると、「自らのストレスに気づきを向け、自らのストレスの問題を認知(頭の中の思考やイメージ)と行動(動作や活動)の工夫を通じてセルフケアするための考え方と手法」ということになります。CBTのセラピストは、CBTを習得し、まずは自らのストレスと上手につき合うために、CBTを使いこなせるようになっておく必要があります。生きていれば誰にでもストレスはあります。だからこそそれに気づき、うまくつき合えるようになっておく必要があるのです。そのために役に立つツールがCBTであり、それをクライアントや患者さんに提供するセラピストであれば、まずは自分自身に対して上手にそのツールを使えるようになっておかなければなりません(料理教室の先生は料理を教える前に料理が上手になっておかなければならないのと同じ論理です)。

そういうわけで私自身も、CBTのセラピストとして、自らのストレス体験にCBTを使いまくっており、日々、ずいぶんとCBTに助けられている実感があります。たとえば、CBTには「曝露(エクスポージャー)」という技法があります。これは自分が不安や恐怖を感じる対象や活動を避けるのではなく、「不安や恐怖をそのまま感じつつ、それらの対象や活動を体験しきってしまう」という技法です。高所恐怖の人であれば、盛大に怖がりながら、そして怖がっていることを否定せずに、むしろ恐怖を味わうぐらいの心持ちで、東京スカイツリーの展望台から下界を眺める、というのが曝露に該当します。パニック障害の人であれば、心身の不安緊張症状を怖れずに、むしろ「ウエルカム」ぐらいの構えでどーんと受け止め、パニック発作が起きた場所や起きそうな場所(電車やエレベーターなど)を避けずに、積極的にその場所に出向いていくことが曝露に該当します。「結構勇ましくて大変そうな技法だなあ」と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、実際に勇ましくて大変な技法です。だからこそCBTのセラピストは自らも曝露を体験し、「勇ましくて大変だったけど、やってよかった」という曝露の効果を実感しておく必要があります。じゃないとクライアントさんに自信を持ってこの技法をすすめることはできませんよね。

そんなわけで、私は一時期、スタッフと共に、曝露を体験しまくりました。富士急ハイランドに行って絶叫マシーンに乗りまくる、スカイダイビングに挑戦する、毎年バンジージャンプをする、などです。曝露の効果は本当に大したもので、何度も乗っているうちにあれだけ怖かった「フジヤマ」という絶叫コースターも、最初は恐怖で足が震えた40メートル(マンションの12階の高さに相当します)のバンジージャンプも、今では全然平気です。あまりにも曝露の効果が出過ぎて全く怖くなくなってしまい、国内の40メートルのバンジーでは飽き足らず、一昨年にはとうとうマカオまで出向き、世界一の233メートルのバンジーにまで挑戦してしまいました。233メートルは未知の世界で飛ぶ直前はあまりの恐怖に手足が冷たくなってしまいましたし、飛ぶ瞬間は「もうダメだ!」と思いました。でも躊躇していると飛べなくなるのはわかっているので思い切って飛び込みましたが、思わず悲鳴を上げてしまいました。が、飛んだ直後、要するに200メートルほどフリーフォールで落ちているときは「解放感」に満たされ、なんともいえないよい気持ちがしました。

また私は人前で話すことが苦手で好きではないのですが(ものすごく緊張するんです)、学会発表や講演など、仕事柄そういう機会を避けて通ることはできません。そういうときも「これは曝露だ」「緊張したっていいんだ」「声と足が震えているけど、これでいいんだ!もっと震えてやれ!」と思うことで、何とか切り抜けられるようになりました。このようにCBTでは、曝露という技法を一つ身につけるだけでも、こんなふうに様々なことが体験でき、自分に役立てることができるのです。

他にもCBTには様々な技法があります。CBTの基本的な考え方を知り、種々の技法を身につけることで自分助けが上手になり、ストレスとうまくつきあえるようになっていきます。『認知行動療法カウンセリング実践ワークショップ』(書籍)と『DVD認知行動療法カウンセリング実践ワークショップ』は、セラピストがクライアントに対してどのようにCBTを効果的に導入するか、ということを具体的に示したものです。CBTのセラピストを目指す方には、ぜひCBTを通じて自分助けに励みつつ、その効果を実感した上で、臨床の場でCBTを安全かつ効果的に使っていただければと思います。

(続く)

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